「うーん。どうしよう。」



俺が差し出したメニューを、

手にして、

真剣に悩む櫻井さんは可愛い。




「ここ、なんでも美味しいよ。」



何度か来ていて

常連のようにアドバイスする松本さんをじろりと睨みながらも、

メニューに悩む櫻井さん。



くふふ。


櫻井さんって、

食に興味がないなんて、

嘘だよね。



俺が作る夕ご飯にも真剣に食べてくれるし、

差し出されたメニューにも、

こうやって悩んでくれる。



っていうか、

和食が好きなんだと思ってたんだけど、

こういう洋食も好きなんだ。


なんか、

櫻井さんの新しい一面が見られて

嬉しくなる。



「このボルガライスが食べたいんだけど、

ナポリタンも気になる。」


 

真剣に悩んでる櫻井さんに微笑みながら、

提案してみる。



「じゃ、このボルガライスに付け合わせとして、

ナポリタンつけてもらいましょ。


どうですか?」



にっこり笑うと、

櫻井さんが目を輝かせてうなずく。




「それ!それでお願いしますっ!」



「くふふ。

では、厨房にお願いしてみます。」

   


バックヤードに向きを変えた瞬間、 

かたりとテーブルに置かれたのは、

櫻井さんのスマホ。



それをみた瞬間。


俺の心が痛んだ。











⭐︎つづく⭐︎







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