誰?

後ろの方から 俺を睨みつける視線を感じて振り返ると
最後方のラウールくんたちの集団の中で
一人 僕を睨みつける人。


あ、あれは 確か目黒くん。
僕と一緒の 高校からの入学生だけど 何かあったのかな


僕と目が合うと

ふいっと 視線をそらして
ステージ上の サッカー部の方を見る。



「はいっ。」
「ほいっ。」


今度は サッカー部の違う先輩たちの
リフティング大会。

それがどんどんリフティングだけじゃなくなって、
途中 足の甲の上で止めたり、
ブレイキンみたいに踊り出したり。

あ、
あれは そう。
フリースタイルフットボールだ。

ボールと友達じゃなきゃ あんなことできないし、
サッカー部ってすごくサッカーボールが好きなんだ。



あっちでは フリースタイルフットボール。


こっちでは、
翔ちゃんたちが 

ぐるんと 軌道が変わる ループシュートや
バナナシュート 
色々なシュートを見せてくれる。



「すごいな。
サッカー部。

櫻井くんって、あの櫻井翔先輩の弟だろ?」


近くにいたえなりくんや 内藤大吾くん。
中村倫也くんが俺に声をかける。


すると後ろの方にいたはずの 流星くんが
こっちにやってきて

「せや。
あの翔先輩の 弟だから、
雅紀くんに何かあったら
あの人がうるさいで。

俺らの天使ちゃんなんだから、
俺らが責任持って守らんと。」


話の輪に入ってくる。


「あ、でも。」


血は繋がっってないんだよと言いかけて。
慌てて黙る。

そうだ。
そうだった。

それは、
黙ってないといけないんだった。
翔ちゃんと約束したんだっけ。



にっこりと笑って。


「あ、翔ちゃんと僕は違うから。
あんなにできないから一緒にしないでね。」

とみんなに笑いかけたけど。


「ええな。」
「いいなぁ。」

と僕をつつく肘は止まらない。



そんな僕を 目黒くんだけじゃなく
いろいろなところから見つめている人たちがいるなんて
僕は気がつかなかった。









⭐︎つづく⭐︎






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