「え?なんで、ここに。

櫻井さんが?」



相葉さんが、

俺の顔を見て立ちすくむ。




「え?

翔さんと、まさきくん、

まさかの知り合い?」




何もいえずに固まった俺と、

相葉さんを

松本は交互に見比べて、

声を発する。

   



「し、知り合いっていうか。

お隣の方なんです。



櫻井さんは、またなんで

松本さんと一緒にいるんですか?」





相葉さんが、

当たらずとも遠からずな説明をしたあと、

俺に問いかける。

  


うん。

俺も、なんとなく

松本には、毎日一緒にご飯を食べてるなんて、

言い出せないような気がする。






「俺は、松本の同僚です。

こいつと一緒の日に、本社異動だったんで、

いわゆる同期ですね。




しかし。



まさか、相葉さんが、

松本の言う『まさき』くんだとは

思いもしなかった。」




俺も立ち止まったまま、

口だけを動かして、どうにか言葉を発する。




「ちっ。



翔さんには、まさきくんをあわせたくなかったのに。


まさかの知り合いかよ。

まじかよ。」




松本が露骨に嫌な顔をする。



そうか。

松本は、この『まさき』くんには、

しつこく通い詰めてたくらいだからな。



俺にも合わせたくなかったし、

この店が、

データ流出に関係がある店だとは思いたくなかったから、

この店に俺を連れてくるのを躊躇っていたのか。





「あ、と、とにかく、

お二人ともカウンターにお座りになってください。



そう、

櫻井さん。

あの、

何か召し上がりますか?



こ、これメニューです。



あ、あの松本さんには、

松本さんのためのランチがありますから、

それをお持ちしますね。」



あからさまに不機嫌になった松本に、

気を使うように、

相葉さんが、メニューを俺に押し付けて去っていく。




「なぁ。櫻井さん。

まさきくんって、相葉って言うんだな。」



からからと氷の音を立てながら、

松本が一気にグラスの水を飲み干すと、



「相葉まさきって言うんだ。

そうか。」



俺も手元のグラスをぎゅっと握りしめながら、

つぶやいた。








⭐︎つづく⭐︎









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