「えっ。」
自分がしたことなのに、
顔の下に、
相葉さんの両手を上から握りしめる俺の手があって、
まじでびっくりする。
「あ、ご、ごめん。
ついっ。」
慌てて、手を引っ込めると、
「あ。ごめんなさい。
僕もつい、むきになりすぎました。」
相葉さんも、
顔を真っ赤にしながら、
慌てて手を引っ込める。
「あ、でも。
ほんと、お礼なんかいらないってのは、
本当で。
美味しそうに食べてくれたし、
僕。
すごく一緒にご飯食べれて嬉しかったんです。」
にこり。
俯いていた顔をあげて、
にこりと笑う。
「だって、めちゃくちゃ美味しかったんだから。
当たり前でしょ。
だから、俺、
なんかお礼がしたくて。」
あ。やば。
この理屈じゃ
また、堂々巡り。
でも。
本当にどうにかして、この感謝の気持ちを伝えたいんだ。
「そしたら、今日の食材の分だけでも、
どうにか…。」
俺が言いかけた時だった。
「あ、いいこと考えたっ。」
相葉さんが、
まるで太陽が差し込んだような美しい笑顔で話し出す。
「あの。櫻井さん。
お礼だったら、
また、
僕の料理食べにきてよ。
ね?
今度は何食べたい?
作るから、
一緒に食べて?
お願いっ。」
今度は、俺の手を相葉くんの両手がしっかりと握りしめるから、
俺の頭がぽうっとするくらい、
血液が上がってきたのがわかった。
⭐︎つづく⭐︎
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