「はぁ。まったくお前らよ。」
俺が、両手に腰をあてて、
松本、村上、横山を睨みつける。
ここは、
大野組の一室。
あのあと、
雅紀を慕う高校生たちが、
囮となってパトカーを引きつけて撹乱してくれたおかげで、
俺たちは簡単に、
A埠頭から逃げ出すことができた。
県下の不良高校生と、大野組が一緒になって、
半グレ集団を叩いたとなれば、
世間体が悪い。
形としては、
高校生たちが、
薬をつかって言いなりにしようとしてきた半グレ集団たちをボコった。
その形にしておけば、
どうみても、世間は高校生たちに味方する。
たとえ、それが不良であっても、
現場に麻薬と銃弾が散乱していたら、
全ては、現認逮捕できるだろう。
そういう意味では、
俺らが県警に、
とっても素敵な贈り物を施してやったことになる。
俺の横には、
雅紀がぺたぁっと、
俺の腕にまとわりつくようにしていて、
そして、
壁のところには、風間がニノの隣に立っている。
「すみませんでしたあっ。」
松本と、横山と、村上は、
俺の前で正座。
土下座でもかましそうな雰囲気だが、
睨みつける俺を雅紀が必死に止める。
「翔ちゃん。
やめてあげて。
みんなには内緒にしてたんだし。
それに、
みんな、俺のこと心配してくれたんだから。」
必死に止めようとするが、
俺は、苦々しげに話し続ける。
「大体なぁ。
ガキがいきがって、
大人の案件に首突っ込んでくるんじゃねぇ。
雅紀や、お前らが無事だったからよかったものの、
お前らに何かあったらと、
気が気じゃなかったわ。」
足蹴にしそうな勢いで、
怒鳴り続ける俺に、
「櫻井。 いい加減にしとけ。」
大野さんが、
ぼそりと 言う。
「はい。
すみませんでした。」
くっ。
すごすごと引き下がると、
大野さんは松本のところまで行き、
顎を人差し指で、
くいっとあげる。
「おお。いい顔してんな。
お前。
松本とか、言ったか。
俺が遊んでやろうか?」
びく。
松本が、身構えると、
「智。
遊びは許さないよっ。」
ニノの冷たい言葉が飛ぶ。
「ははは。冗談。冗談。
けどな。
なんか、お前らには、
ちゃんとけじめつけてもらわにゃいけないなぁ。」
にやりと笑って、
松本の顎から指を離した大野さんに、
ニノが、
「冗談かどうだか。」
風間の横で、
苦々しげに言葉を吐いた。
⭐︎つづく⭐︎
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