「じゃ。
社内の情報から。

ひとまず、この本社の全ての課の女の子とは
仲良くなった。
本社の上層部が、疑っているように
この社内には動いているやつはいない感じがする。

まだ、
情報収集は必要だから
その辺はのらりくらりやってくわ。」


真面目な顔して 言うことはやばい。


松本潤。

こいつの良さはフットワークの良さと
その人懐っこさ。

どこでも誰でも
他人の懐にするりと入り込んで
知りたいことを何気なく聞き出してくる。
尚且つ
それが人に恨まれないときてる。



ほんと羨ましいやつだ。




「なるほどね。
そしたら 他社の可能性が高いか。


俺も社内のシステム 一応しらみつぶしに当たったが、
不正ログインは見つからない。
この社内にはいそうにないな。」




「う〜ん。そうだよね。
そしたらこれから、
ここの社に出入るする他社の人かなぁ。」



松本が首を傾げるが、
俺が 否定する。


「う〜ん。
しかしなぁ。
この界隈の会社 全部が被害に遭ってるんじゃないかって
噂もあるしな。

そうそう、
この界隈なんか 危ないところあったんか?」



PCを叩いて情報を入力しながら
松本に聞いてみる。


「それはなんともはや。
こんな三日じゃわかんねぇよ。


あ、今日行った 喫茶店は当たり。」


「ん?当たりって?」


にっこりと笑った松本に違和感を覚えて、
聞き返す。
ただの雰囲気良さそうな喫茶店だったが、そこで何か情報が掴めたのか?


食いついた俺に対して
松本がにこにこして答える。



「うん。
あそこねぇ。
potっていうから、紅茶のお店かと思ったじゃない?

でも
珈琲美味しいのよ。
たぶん。何頼んでも美味しいんだと思うけど、
さっき言った まさきくんに、
俺に合った珈琲持ってきてって頼んだら、
めっちゃ美味しいのブレンドしてくれたの。

『松本さんは、
大人っぽくてできる男の方っぽいですけど、
きっとお仕事も疲れていらっしゃると思うので、
チョコレートに合うのにしました。』
とか言ってくれちゃって、
チョコレートとかもサービスで添えちゃって。

珈琲もさ、芳醇なんだけど
スパイシーな感じして最高に美味しいのよ。


雰囲気もいいし、
俺通い詰めようっ♡」



「ああ、ああ。
そうしろ。
そうしてくれ。

さっさと 名前まで名乗って
お近づきになってるしな。

仕事の合間の息抜きに
そいつと仲良くなってくればいいじゃん。」



松本に見向きもしないで、
そう言い放てば、


「う〜ん。やっぱりつれないなぁ。
俺が一番惚れてて尊敬してるのは
あなたですって。
櫻井さん。」



ちゅ。

不意打ちでされた 頬へのキスを
拭き取るかのように手の甲で拭い、
松本に言いつける。



「ほら、余計なことしないで
さっさと仕事しろ。」


「は〜い。」



不服そうに、返事をした松本が自分の席に戻り、
PCを立ち上げ始めた。









⭐︎つづく⭐︎







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