街を歩けば、

チェーン店のコーヒーショップが立ち並ぶ。


 

軒並み、

道沿いに並ぶ店たちは、

廉価で、

そこそこ美味しいコーヒーを提供しているから、

どこでもいつもそこそこ賑わってる。



となれば

ここ、都心の大通りのコーヒーショップなど、

他とは変わり映えがしないから

常連さんなど存在しないはずなのだが、


この 店は、

オープンしてそれほど日が経たないというのに、

かなりの率でのリピーターが存在する。






「なぜなんだろうなぁ。」


ことこととサイフォンから落ちるコーヒーを見ながら、

俺が呟けば、


「うーん。

相葉ちゃんが 可愛いからじゃね。」




隣で大野さんが ふにゃんと笑って返事をする。





「もう。揶揄わないでよ。」




少しむくれて返事を返す。

大野さんはここのオーナー。


と言っても、俺も共同経営者みたいなものだから、

ほとんどバイトくんを雇わずに、

ここを切り回しているわけなんだけど。


うちはチェーン店ではないから

独立採算制だし、

コーヒーを淹れるのも

一杯一杯心を込めて淹れるから

時間もかかるしね。



それでも、

ここの店のコーヒーが美味しいからと言って通ってきてくれる客がいるのは

嬉しいこと。




「きっと、

大野さんが チョイスしてくれる豆がいいからだよ。


俺なんて、

あまり腕がないし、

そんなに修行してないのに、

こんなに美味しいコーヒーが淹れられるんだから。」



上から落ちてくる褐色の液体を見ながら

大野さんに答える。





「お互い、褒めてても仕方ねぇよな。

さ、仕事するか。」


「くふふ。そうだね。

仕事。仕事。

あ。お客さん。」




ドアが開く音がして振り向けば。

そこには、

美しい立ち姿の男の人がいた。















⭐︎つづく⭐︎





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