​蜂の巣の奥の蜜 の巻




はぁはぁと、

息を吐く雅紀は、

息だけでなく体も目つきも何もかも甘い。



「お前…

何者だよ…」



やっと 快楽という責苦から逃れ、

息絶え絶えに俺に問う。



「櫻井翔って、探偵だよ。

相葉雅紀くん。」



くたあっとした軀を上から見下ろし、

答えてやる。



今、こいつは誰だ。

二丁か?

それとも、相葉雅紀という自我を取り戻したのか?




「あん。

もう。だめぇ。


探偵ごときが、俺にこんなことして済むと思ってるの?」



あ、

これが素の相葉雅紀か?


二丁ではない、甘さを持った問いかけに

ほっとしつつも、冷たく答えてやる。




「今の、お前にそんなことが言えるの?

ほら、こんなに俺のこと欲しがってるのに。


ここの、こんなになったとこ。


俺の指だけでいいの?」


ぐぢゅ。

さっき、いったばかりのそこに、

指を忍ばせて、


ぐちゅ。じゅると

わざと音を立ててやれば、

そこはすでに甘い水音。


それだけじゃなくて、

甘い蜂蜜の湧き出る巣であるかのように、

俺の指に絡みつきながら、

気持ちよさそうに

じゅぶじゅぶと音を立てる。




「あ。あぁ。

や、やめてぇ。」



拒絶の言葉はすでに俺への甘い誘いの響きを帯びる。


「やめていいのか?

もっともっと、すごいことしたくない?」



上から見下ろしてやれば、


ごくり。

雅紀の喉が期待で音が鳴る。


「ほら

いい子にしてろよ。

俺が『まだ見ぬ世界』に連れてってやる。


目を閉じて、自分の感覚にひたれ。」



と言わんばかりに、雅紀が目を閉じれば、

俺もゆっくりと、雅紀のそこに

自分の燃えたぎるそれをあてがう。


ゆっくりと一ミリ一ミリ味わうかのように、

前に進めば、

初めての異物に戸惑うそこと、

俺を引き入れようとざわめく細胞。



いつかたどり着く場所。


それは、すでに俺を待ち望み、

体も心も俺を恋焦がれているのがわかる。




「いいこだ。

ゆっくり息を吐け。


さっきの気持ちいい場所。

ぐりぐりして、すぐに飛ばしてやるぞ。」



「あ。んぁぁ。

ぃやぁぁぁ。」


そう言いつつも、


手は上に上げられてベッドに縛られたまま、

雅紀が自分の足を広げて俺の腰に巻き付かせる。



「ほら、入った。

ここからが、いいところだ。

お前が知らない深い場所に突き落としてやるよ。


ほらいくぞ。」



「あ。あぁ。

らめぇ。

いいっ。」



雅紀の足を腰に巻き付かせながら、

思いっきり蜂の巣の奥の蜜を

じゅぶじゅぶと溢れ出させながら突き上げれば、



「あ。らめぇ。

おかしくなるぅぅ。

もう、無理ぃぃ。」


初めてのくせに腰を揺らして、

雅紀がまた、俺のを締め付けながら、

天に飛び立った。







「やっばいな。

雅紀。お前。

初めてなのに、こんなになるなんて。


俺たち相性抜群だよなぁ。」




「あ。ああ。

しょお。翔。

もうだめぇ。だめぇ、許してぇ。」



縛りつけた手などもうすでに解いてやった。

力が入らない両手を下にして、

うつ伏せにして、

腰だけ持ち上げて、なおも後ろから腰を打ちつける。


初めてだからと、

最初は手加減してやったが、

自分から腰をふり

気持ちいいところに自分を引き込もうとする雅紀に流されて、

もうすでに手加減などはできやしない。


ただ、ただ、

上にして、下にして、

雅紀の痴態を楽しむ。



「やぁ。ひやぁぁ。

もうっ。もう。いくぅぅぅ。」



きっと、相性が良すぎて、

お互いから湧き出る体液さえも、

媚薬となってしまっているのだろう。


何度も、天に達してもとまらずなおも

俺の下で腰を振る。




「もう。もう。ゆるしてぇぇ。

一緒に。

一緒に行ってくださいぃぃ。」



懇願する雅紀をみれば、

まだまだもっと苛めてやらなくてはとも思うが、

俺も、もう限界。



「じゃあ。俺にご奉仕しろ。

自分から俺の上に乗れ。」


ベッドに仰向けになって

上から乗れと命令する。



「はい。」


初めてのやつには恥ずかしいだろうに、

雅紀はまるで従順な奴隷かのように、

俺の上を跨いで、

それにしっかりと狙いを定める。



「あ。ああ。

あああ。」



ゆっくりと目を瞑りながら自重で自分の中に収めていく雅紀は、

まるで天に飛び立つ天使であるかのようだ。


「んぁぁ。いくぅ。すごぉぉい。

きもちいぃぃ。」


脳の中が

もうかっとんで、

思ったままが言葉として流れ落ちるのだろう。


気持ちよさに溺れるその口からは、

既によだれが口端からも溢れる。



「んぁ。あっ。

ああっ。」


自分の良いところにあたるかのように、

気持ちよさに浮かされながら、

舞い踊る雅紀に

俺の頭のてっぺんまで

「俺もやばい」と

警戒信号が

びびっと、到達する。



「ほら、さっさといけ。

俺もいってやる。」



ずん。ずんっ。ずーんっ。



下から雅紀の場所に突き上げて

とどめをさし、

雅紀の中に思いっきりぶち上げると、



「ひぃぃぃ。」


雅紀が悲鳴を上げながら、

気を失い、

俺の体の上にばたりと倒れた。



















どれくらい経ったのだろうか。

気を失っていた雅紀を抱きしめながら、

寝ていたはずなのに。



気がつくと、

雅紀はもうそこにいない。


だるい身体を起こして、

周りを見渡すと

バスローブを着て、椅子に座って足を組んでいる雅紀がいる。




「あ、雅紀。

起きてたのか?」



雅紀に声をかけると、

雅紀が、眉を片方だけあげて、

にやりと笑う。




「雅紀?

相葉雅紀のことですか。


それは、私の仮の名です。



探偵さん。

私は、本当の名前など周囲には教えてはいません。



そう、私は「貴族」ですから

一般庶民に教える名前などないのですよ。


皆は私のことを「御前様」とか、「貴族様」

とか呼んでるようですが。」



へ?

雅紀。何言ってんの?」


俺を揶揄ってるのかとも思ったが、

その顔は終始真面目。


心なしか。

さっきの 二丁や アイドル相葉雅紀とは全く違い

高貴な気品さえ感じさせている。





「そうそう助けてくださりありがとうございます。


ところで、

櫻井さん。あなたも探偵さんなんですね。

私も趣味で探偵をやっているのですよ。

ただ 推理などという雑事は使用人に任せておりますがね。


櫻井さんには探偵さんにするのには

あまりにも素敵すぎる。


というわけで


もう一回、

アヴァンチュールは、いかがですか?」



雅紀が、

はらりと、バスローブを床に脱ぎ落とすと、

また、俺の身体に抱きついて、

熱いキスをしてきた。










⭐︎つづく⭐︎










コメントは非公開です。