一番大切なのは、お前自身が笑顔でいることなんじゃないのか? の巻




駆けていった可愛い子。

たーみこちゃんの、背中を見送る。



その御村くんってやつがどんなやつかわからないが、

そんなやつの家のメイドになるくらいなら、

俺が雇ってあげましょう。



あんな可愛い子なら

そう思うのも無理はない。




思わず追いかけていって、

また その可愛い手首を引っ掴む。




「なぁ。あんた。

民子ちゃんって言ったっけ。


バイトしたいの?」



こくん。

可愛らしい ツインテールが 下を向く。



「そしたらさ。

お兄さん。

お兄さんのとこ、こない?」




「えええ〜、おにぃさん?」



その嫌そうな声は、

俺に誘われたことだろうか。

それとも 俺がお兄さんと自分を呼んだことへであろうか。



「大丈夫。

うちでご飯作って欲しいだけ。


何にもしないから。


お金。お金欲しいんでしょ?」


我ながら、

卑怯かつ下世話な誘い方だが、

この 民子ちゃん、純情なのにあんなところで働いているとは

目的はお金に決まってる。



「え〜。本当にぃ?」


くぅ。

甘ったれた声さえ可愛い。



「本当。本当。

うそつかないって。


そう、

俺 あじフライが食べたくてさ、


民子ちゃんみたいな子に作ってもらいたいだけ。

当然、お金は弾むって。そうそう。

材料費別で一万円なんてどう?」




「うーん。お兄さん、どことなく御村くんに似てるし。

御村くんとこに迷惑かけたくないのもあるからなぁ。」



腕を組んで、

悩む民子ちゃん。



御村ってやつがどういうやつか知らないが、

ここはもうひと推しか。



「ほら、この通り。

お願いしますよ。民子ちゃん。」



頭を下げれば、


にこ。




「じゃぁ。前払いなら♡

いいよ。

おじさん♡」




民子ちゃんが首を傾げてにっこり笑った。








・・・





「ああ、美味かった。」



本当めっちゃおいしかった。

この子、

スーパーでの買い物も慣れてるし、

安い美味しいもの知ってるし、

調理やら家事やら全部完璧だし。



今日だけとは言わず

ずっと 一緒にいてもらうべき。



腹も満タン。

心も満タン。

ついでに、あそこも満タンで。


満タンcarで

暴走 想像 妄想 上昇 衝動 だぜっ。

なんて、韻まで踏んでしまうぐらいな

超ご機嫌。




それに

それにだね。


こんな可愛い子。

俺が全部 全部

大人の魅力で教え込んで

俺の体がなきゃ 生きていけない体に作り変えてあげようじゃないか。




そうと決めた俺は

エプロン姿で食べ終わった食器を片付けようとした民子ちゃんの肩を押さえ込むようにして座らせる。



「なぁ。民子ちゃん。」



「なぁに?櫻井さん?」



うるうるとした瞳。

くっそ、まじかわいい。



「あのさ。

今日だけじゃなくて毎日俺の家。来てくんない?」



「いやです。」



即答。



しかし、こんなことでめげる俺様ではないのだ。



「そんなこと言わないでさ。

俺といたら お金もあげるし

幸せにしてあげるよ。」



民子ちゃんは、顔を顰める。



「う〜ん。民子。

そういう甘い言葉って裏があるって知ってるのよね。」



首を傾げてかわいいけど、

思いっきり拒否。




よし。ここで殺し文句だ。




「民子。

何のためにお金が必要なのかわからないが、


一番大切なのは、お前自身が笑顔でいることじゃないのか。


俺なら、

お前をずっと笑顔でいさせてやるぞ・・・」


民子ちゃんの細い肩を抱きしめて

耳元で囁いてる時だった。








「ああああ、櫻井さん。

またじゃぁぁぁん。」





部屋のドアが開いて、女の声が響いた。












⭐︎ つづく ⭐︎







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