うわ。
なるほどな。


俺は、税理士と公認会計士の資格を取るために、
私大に行かせてもらってる。


 
いちにぃが、
商業イラストレーターとしては、
かなり売れっ子となり、
すでに、
結構な額を稼いでいるが、
マネージャーとかがいないため、
個人営業で
結局確定申告とかは俺がやっていたからだ。

今は、インターンシップで
公認会計士事務所で修行中だか、
大学卒業後は即戦力として働かせてもらい、
そのあとは、
できる限り早く独立するつもりだ。


五郎は、
弁護士志望で、
国立の法学部希望。


双子だけど、
国立だから、
どうにかなるかと思ってたけど、




話は変わってきた。

今度は
三郎も俺とおんなじ私大の可能性が高い。

特に、
「英語が苦手」これが
三郎の一番国公立大学の足を引っ張っている。

すべてがバランスよく点が取れるやつが、
共通テストの5教科7科目を制す。

生物基礎 化学基礎 数学IIBは、楽勝だろう。
模試の成績表をみると、
現代社会 と、日本史Bもなかなかのものだ。

なので。国語と英語。
この二つが完全に足を引っ張っているのだ。


私大は、
共通テスト利用でも、
数・英・理の3教科5科目が多い。
また
受け方もそれぞれだから、
さぶが、入れる可能性も高いのだ。


「なぁ?
この 現代社会と、日本史。
すごい成績あげたけど、
どうしたの?」


「あ、これはね。
ごろが教えてくれた。

いろんな武将さんのエピソード絡めて教えてくれるから面白いんだよね。
歴史ってさ。
やっぱり人が作ってきたんだなってわかった。

また、
五郎が徳川家康とかに詳しいからさ。
楽しく教えてくれて、
戦国時代とか、江戸時代は、
ばっちりよ。」



「なるほどな。」



でも、こいつ私大受験なら
必要ないんだけどな。
そう思いながら
成績表をたたんで
さぶの方を向く。



「金のことは心配するな。
俺もそうだけど、 
独立するまでは甘えさせてもらおう。
とぉさんが、いいって言ったんだろ。
なら大丈夫だ。 

大人に任せようぜ。」
  

「それならいいけど。」


さぶが、目を伏せる。


さぶには、ちゃんと言ってないけど、
俺たちはこういう育ちだから、
それぞれ因果を含まされて、
舞賀の父と母には、
養育費が払われているらしい。

舞賀の父と母は、
それをきちんとそれぞれの通帳に積み立てて、
いつでも使えるようにしていると聞いたことがある。

里子であるいちにぃも、
実子である俺も、
それは全く変わらずで。


5人が5人とも公平に。
自分が好きな人生が送れるように。
そう願って育ててくれたんだ。
  


ま、そんなことは、
俺といちにぃくらいが知ってればいいことだ。




「そうか。それなら、いいけど…」


そう言いつつも、さぶの表紙は暗い。


「なんだよ。
他に、何かあるのか?」

さぶの顔をのぞいてやると、



「しろちゃん。
あんなに頭がいいのに、
国立大学の経済学部でいいのかなって。

それに、
ごろも本当はじろちゃんとおんなじ学校がいいみたいなんだよね。」



さぶが、膝に目を落とした。








⭐︎つづく⭐︎







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