「ただいま」


「ねぇねぇ。
大野さん。
お腹すいた。

ご飯食べたいなぁ。」


家に帰れば、
肘の周りに両手を絡めて、
肌を引っ付けてくるこいつ。



おんなじ部屋に住んでいるといえば、
誤解もあるだろう。


ただの
シェアハウスの同居人である ニノこと、
二宮和也。




ふたりっだけなら
そんなことされたら、
押し倒して、
何が正解で何が間違いかを
身体に教え込んでやりたいものだが、


なんと悲しいことに、
ここは、
男5人のシェアハウス。



一階は、キッチン・トイレ・風呂の水回りと、
おっきめなリビング。
2階は一号室から五号室のそれぞれの部屋とあって、
こいつを押し倒してやりたくても、
共同の場所のここリビングじゃ、
そんなことしてやることもできない。


それに、
腕を巻き付かせながらも、
ニノの目線の先には、
三号室の住人の相葉雅紀がいる。


相葉ちゃんは、
ニノの幼馴染。


近くの商店街で、
八百屋を営みながら、
フードコーディネーターをやってるが、
その愛想の良さと漢っぷりのよさで、
商店街のアイドルだ。




わかってるさ。
ニノ。
お前の考えてることなんて。



俺は、フェイク。
まがいもの。



はぁ、
と心の中でため息をつきながらも、
腕に巻きついてくる
愛おしい温かさを振り切ることなんてできなくて、
俺は
相葉ちゃんの隣で、
夕食の支度を手伝うこととした。











⭐︎つづく⭐︎










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