「えっと、どうすればいい?」



おろおろするじろちゃんに

ザルを渡す。


「そこの米櫃から、3合って書いてあるボタンずっと押してて?

そしたらお米出てくるから。


あっ。下にザルを置いてくんだよ。」



「はい。

まず、ザルを下にセットして、

米櫃の3合を押す。


一回じゃないのな。

ずッと押すのな。」



「そう。お米が全部出るまで押しててください。」



「はいっ。」



うーんっ。

じろちゃんって、

頭もいいし、

学校の家庭科の調理だってやってて、

色々経験もしてるはずなのに、

なんで料理に関してはこんなにポンコツなんだ?





ザルに米を入れたら、

その状態で固まってる。



「次は流しで、

お米といで。」



「米とぐって、どうするの。」


「お米を水でしゃっしゃって洗うの。」



「洗剤?

それとも、水だけ?

研ぐ時は手、それとも泡立て器とか木べら?」



ああああっ。

頭をかきむしって叫びたいー。


なんで、こんなじゃまなのー。

そして、

なんでこんなにポンコツー。



泣きそうになりながらも、

必死で冷静を取り戻す。






「手でね。しゃっしゃって、

洗えばいいよ。


水を通すくらいでいいから。

そんなにたくさんやると、

お米の栄養も逃げちゃうしね。」



って、言ったのにー。


ちょっと、目を離した隙に、


「さぶー。

お米溢れて流れちゃったぁ。」



助けを求める声。



なぜ?

どうして?

Why?




普通にお米磨がせると、きっとこぼすだろうなと思ってザルを渡したのに、

なぜ

お米こぼせるの?




ワタシニハ ワケガ ワカリマセーン。



「わかった。

ちょっとてつだわせてー。」



このまま、お米をこぼした後の

水加減で炊かせると、

おかゆみたいなご飯になっちゃう。


ちゃんと、こっちで水加減をみなきゃ。




ザルを奪い取るように、

自分の手に戻し、

お米を窯に移して


炊飯器に釜をせっとする。



手首の関節ぐらいまで水を入れると、



「じろちゃーん。

スイッチ押してくれる?」




「うん。」




じろちゃんは、

満面の笑みでぼちっとな。




「これで、じろちゃんがお米炊いてくれたから、

おかず作れるね。


じろちゃんは、そこで座って、

お皿拭いててね。」





「うん。わかった。」



炊飯器のスイッチを押して満足げなじろちゃんを座らせると、


はぁっと息をこっそり吐く。




やっぱり。

この人をこの家から追い出すわけにはいかない。


あの人と恋人同士なら、

きっとここを出て二人で素敵な家庭を築くんだろうなって

思ってたけど。


なんか、そうじゃないみたい。



そしたら、

俺が出てくしかないんだけど。



でも、俺がここを出てくと、

いちにいと、ごろちゃんに

家事の負担がのしかかる。



はぁ。どうすればいいの。

俺。



俺は味噌汁の味噌をときながら、

じろちゃんに気がつかれないように、

こっそりため息をついた。








⭐︎つづく⭐︎









コメントは非公開です。