結局。
あのあと、四郎ちゃんが来てくれたおかげで、
俺とじろちゃんへのいちにぃのお説教は、
有耶無耶になった。
きっと、しろちゃん。
助け舟出してくれたんだろうな。
あのまんまだと、
俺のじろちゃんへの想いが、
爆発して、
みんなの前で言わなくちゃいけなくなるところだった。
俺らは、
5人兄弟だけど、
それぞれ、兄妹の中で気になる人がいる。
俺はじろちゃん。
しろちゃんは、いちにぃ。
そして、たぶん。
ごろちゃんも、じろちゃん。
兄弟だし、
男同士だってわかってるけどさ。
だってしょーがないじゃない!
自分の家の中に、
あんなにかっこいい人たちがいるんだよ!
いちにぃは、イラストレーターの才能もとんでもないけど、
実はすごくしなやかな体で、
器用でなんでも作れて
優しくて。
イラストを描いているときに時々みせる真面目な顔は
とんでもなくかっこよくて。
脱いだら筋肉バキバキなの。
じろちゃんは、
もう王子様。
足は長くて細いのに、上半身はムキムキで。
真面目で頭が良くてなんでも知ってるのに、茶髪やピアス、臍ピアスまでしてるやんちゃなルックスで。
とってもかっこいいのに、実は迷彩マニアで私服のセンス最悪で。
めちゃくちゃイケメンで男らしいのに、高いところやお化けやいろんなものが怖いビビりでヘタレで。
もう。もうっ。
ギャップ萌えがすごすぎるの。ジェットコースターみたい。
かっこよくて可愛くてイケメンでキュートって、
もう矛盾だらけで頭がパルプンテだよ。
そんな人が近くにいてごらん。
狂いそうになっちゃうから。
いちにいと、じろちゃんだけじゃない。
双子の弟の
しろちゃんは、透き通った白い肌。
榛色のうるうるした瞳。そして無駄な筋肉がついていない柔らかな体のライン。
本当に儚い美少年のルックスで、
町中のアイドルになってるし、
ごろちゃんと言えば、
もう お顔から体型から、
あまりに美しいギリシャの神様のような神々しいお姿。
あまりに美しすぎて、
誰も手の出しようもない。
おまけに性格は、あまりに素直で純真で。
天使としか言いようがない。
こんな兄と、弟持ってるのよ。
他に目がいくはずもない。
だからね。
きっとこの5人の中で、
俺だけ血が繋がってないと思うのも
当たり前だと思うんだ。
俺だけ頭悪いし。
顔だって、みんなみたいにかっこよくないし。
一生懸命やっても失敗ばかりだし。
みんなは血液型 A型だけど
俺だけAB型だったし。
はぁ。
そう考えれば、
やっぱり、
俺、この家でてかなくちゃだな。
しゃかしゃかしゃか。
そうおもいながら、
キャベツを千切りしてたら、
ものすごい量千切りしてた。
やば。
これじゃ、とんかつの付け合わせには多すぎ。
仕方ない。
スープに投入して、
誤魔化すか。
料理は好き。
無心になれるから。
おかずを作ってたり、
ことこと音を立てるコンロの鍋とかを見てると、
優しくなれるし、
自分が作った料理を人が食べて笑顔になってくれたら、
俺にでも人に役に立てることがあるんだって思えるから。
さ。次はどうしよう。
ふっと気がつくと、
テーブルのところで、
じろちゃんがうろうろしてる。
「どうしたの?じろちゃん。」
声をかけてあげると、
「あのさ。さぶ。
なんか手伝うことない?
いちにいと、四郎はさ。
ドアノブ直しにお前の部屋に行ってるんだけど、
俺も手伝おうとしたら、
『あなたがいると邪魔ですから』って、
言われて追い払われた。」
ああ。
それは納得。
二つの意味で『邪魔』だったんだろうなぁ。
うーん、
しろちゃん。
俺もさ。
じろちゃんがそばにいると、
ちょっと嬉しいんだけど。
実はちょっと邪魔だったりもするんだよ。
「じゃ、ご飯でも炊いてもらおうかな。」
「わかった。」
俺の言葉に、じろちゃんがめちゃくちゃ張り切って
立ち上がった。
⭐︎つづく⭐︎
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