やはり天使か。
うつくしくふさふさとした翼だけで、
その格の高さがうかがわれる。




しかし、
普通の天使と違い、
そのふさふさとした立派な翼は
美しいまでの漆黒。

潤の美しい顔立ちによく似合う。



「これでいいか?
お前も同族だよな。
和くん。」



「ふふ。
貴方ほどの力を持つ人なら、
バレてますよね。

その通りです。」


右の肩から、
4枚重ねの片翼だけがゆっくりと出てくる。
純白のそれは、
潤のとはちがいまだ成長段階であるがゆえ、
つやつやと生まれたての卵のようにぴかぴかとしている。
目の前の潤の翼の漆黒な威厳を持つ翼とは大違いだ。



「ん?片翼ってことは、
もう片方はお前の片割れが持ってんのか?」





「はい。
文字通り、まぁくんが、
俺の片割れです。


俺たちは二人で一人の天使。

でも、
まぁくんはまだ天使としての覚醒はしてないです。


人間として生を受けたと信じてますし、
天からの任務もわかってはいません。

なんにも知らないのに、
これだけうまく物事を運んでくれるのは、
まぁくんのもつ天性のものとしか
思えないですが。」


まぁくんのことを話せば、
自然に、
微笑んでしまうのは仕方ないだろう。

それだけ、
俺の大切なものだ。


きっと、
あいつがあれだけほぼ初対面のこいつに懐いてるのは、
同族の血が引き合うのだろう。


悔しいけれど、
そう思えば仕方ない。




しかし、こいつが
智先生の弟に転生してるとはな。


目の前の自分より格が高い天使に、
敬語になってしまう自分に、
内心腹を立てながら、
潤に説明を続ける。





「あなたは、
セラフィムだけど、
地に堕とされた いわゆる堕天使ですよね。

その黒い羽ですから。


堕とされた理由は聞かないであげますけど。

あなたの
天に戻るミッションは何?」



「ご察しの通りだとおもうよ。
天使の卵ちゃん。」



人としても、
天使としても、
経験が足りない俺を蔑むように見下ろす。



くぅ。
むかつく心を笑顔にかくして、

目の前の元最高位の上級天使に向かって、
言い返す。


「わかりました。
私は、
まだ目覚めたばかりの天使の卵ですから、
あなたには力が及びようにもありません。

そして、
もう一人の大事な片割れと来たら、
目覚めてさえいない。

手加減いただけるとうれしいのですが。」



「それはどうかな?
俺の望むものは智だけだからなぁ。」



ふぅぅ。
潤が、軽く息を吐くと、
その大きな黒い翼はまるでなかったかのように
その美しい肩甲骨に収納される。



「じゃ、いこうか。
和くんとやら。

君の可愛いまぁくんの
ガルガルくんのアイスバーでも買ってあげよう。

あ、
お兄さんが全部おごってあげるから、
その可愛い財布は出さなくていいよ。」


馬鹿にしたような物言いに、


「うん。
ありがとう。

お兄さんっ!」


いやみったらしく笑顔を貼り付けて、
その手を子どもらしく握ってやった。




⭐︎つづく⭐︎