僕たちは、
春の妖精。
春のさまざまに咲き乱れる花々それぞれに、
妖精がいると大変だから、
僕たちは
それぞれ色で担当が決まってる。
真っ白なお花や草たちに、
僕たちが色をつけていくんだ。
赤、青、黄色、紫、緑。
他の色はね。
2人とか、3人で1組になって、
えいって、
魔法をかける。
そうしたら、
綺麗な色になって、
みんなが気持ちよく春を楽しんでもらえるんだ。
担当の色も決まってる。
赤系は しょうちゃん。
三月の春の初めは梅。それから桃。
春の盛りの桜や赤いチューリップ。
それが終われば躑躅(つつじ)と、
ありとあらゆるところを走り回ってる。
青系は おおちゃん。
春を知らせるオオイヌノフグリや、
ブルーデイジー、勿忘草、ネモフィラ。
小さいけれど、すごく力強く美しい。
5月になれば露草と、
儚げだけれど人の心を癒すような花が、
おおちゃんの得意分野。
黄色系は にのちゃん。
3月は菜の花。フリージアに水仙。
春の盛りの、黄色いチューリップや、
蒲公英(たんぽぽ)、パンジーなど、
みんなを元気にしてくれる。
紫系は、じゅんくん。
菫(すみれ)、アネモネ、ルピナス、ムスカリ、
パンジーにスイートピー。
紫のチューリップも、
凛としたその高貴さと美しさは、
春を彩るのにふさわしい。
オレンジなんかの混合色はさ。
2人とか、3人で、
えいって、声を合わせて魔法をかけるの。
にのちゃんと、しょうちゃんが
つくるオレンジはきれいだし。
おおちゃんと、じゅんくんが、
力を合わせて魔法をかける
青紫はとても高貴で流麗。
それに比べて。
僕は 緑の担当。
お花じゃないの。
葉っぱなの。
わかってる。
ちゃんと僕がしっかりと
葉っぱに元気をあげて
育ててあげないと、
光合成ができなくて、
みんなのお花が咲かないって。
でも。
でも。
僕もお花が良かったな。
みんなのように美しく咲いて、
綺麗だなって褒められたい。
お花は立ち止まって見てもらえるけど、
誰も葉っぱなんて、
植物についてて当たり前だから、
誰も褒めてはもらえない。
今日も、
桜の木で、
綺麗にピンク色に染めた花を
吹雪くように散らしていくしょうちゃんの横で、
葉っぱを咲かせる僕。
「ああ、もう葉桜だ。」
桜の木を見上げて、
残念そうに話す人たちの声を聞いて、
しょんぼりしちゃう。
「やっぱ。
花の方がいいよね。
葉っぱなんて面白くないものね。」
しょうちゃんに、ぼそりと呟いてみたら、
しょうちゃんが、
僕の頭を撫でながら、話しかける。
「あのな。まさき。
おまえは、俺たちよりすごい仕事をしてんだぞ。」
むぅ。
唇を尖らせて言い返しちゃう。
「光合成ってやつのことでしょ?
それがないと栄養ができないから、
成長できなくて、
花も咲かないし、
実も種もできないから、
繁殖できないって。
そう言われるけどさぁ。
誰も褒めてはくれないじゃん。」
「それだけじゃないよ。」
にっこりと笑うしょうちゃん。
「まさきが、光合成をしてくれないと、
二酸化炭素が酸素にならなくて、
あの『人間』たちを含む『動物』は死んじゃうんだ。
あいつら、わかってないんだよ。
自分達が、まさきに生かしてもらってるってこと。」
ふえ?
僕、そんなことしてたの?
いつの間に?
きょとんとする僕にしょうちゃんが笑いかける。
「ほら、
あそこの花なら、
俺と一緒に行けるぞ。」
しょうちゃんが、指差したのはチューリップ。
「え?あれ?
僕じゃだめじゃん。
赤や黄色、紫。
しょうちゃんや、にのちゃん、じゅんくんの
担当じゃないの?」
黒のチューリップだったら、
赤と青と黄色。
しょうちゃんと、おおちゃんと、にのちゃんが、
えいって3人で息を合わせて魔法をかければ済む話だ。
僕は必要ないってこと。
「よく見てみろ。
あれは、世にも珍しい緑のチューリップだよ。
珍しいからなかなかないけどな。
花びらの先がちょっとだけが赤いんだ。
俺とまさきしかできない花だよ。」
わーい。
そんな花あったんだ。
嬉しくて魔法をかけたら、
みんなが、
「珍しい」「へぇ?緑のチューリップってあるんだ。」
近寄ってきて、
口々にほめてくれる。
「ありがとう。」
チューリップの花びらの中に隠れるように、
しょうちゃんと2人。
俺を優しい目で、
見つめるしょうちゃんにありがとうを言ったら、
「緑のチューリップの花言葉は、
『美しい瞳』なんだって。
まさきにぴったりだよな。」
しょうちゃんの顔が近づいてきて、
思わず目を瞑ったら、
しょうちゃんが、
僕のまぶたに優しい口づけをくれた。
⭐︎おしまい⭐︎
櫻葉さんで、
お花の翔さんと、
葉っぱの雅紀くんが、
季節を渡って
いっしょに過ごしていくという
リクエスト。
ちょっと、
設定には忠実ではなかったですが、
こんな春のお花の話に
仕上げてみました。
いかがだったでしょうか。
まずは、
春の修行シリーズ第一弾。
修行は、
まだまだ続きます♡
コメントは、
公開します。
リクエストはまだまだ
受け付けますよ♡
この修行は、
100本ノックだと思ってるんで。
リクエストは、
独口記事にお願いしまーす。
(あっちは、
コメント非公開です)