ふわふわと、
雲が浮かんで月夜に照らされる夜は、
どこかに、
妖精の一人や二人、ふわふわと浮かんでいるような気がする。








とくに、こんな蒸し暑くて、
もやもやするのに、
ぷかぷか浮かぶ雲の隙間から、
赤い星やら、
白い星やらが見え隠れするこんな夜は、
何かが起きてもおかしくないんじゃない?



不思議なもの思いにふけながら、




ひとりぼっちのアパートの
古いサッシの窓からぼうっと、
外を眺めてると、


ふわふわと、
何か白いものが浮かんでる。



なんだろ?

あれ。

レジ袋?


それとも、
霊?




残念ながら、
僕は霊感が強いけど、
でも
霊って透明なんだよね。
あれは、しっかり真っ白だから、
どうも幽霊とかの類ではなさそうだ。




としたら、
季節外れの薄羽蜉蝣かなんかかな?


虫?


新種の霊魂?



どちらにしても、
あまり関わらない方が良い代物のようだ。






窓を閉めて、
眠りにつこうとした時だった。





とんとん。
窓を叩く音。




あれ?
雨が降ってきたのか?
あんなに綺麗に月と星が出てきたのに。

雲も小さくて白くてぷかぷかしてて、
雨が降りそうな雲じゃなかったぞ。






も一度窓を開けて
確かめようとすると、





ふわ。
さっき見えた白い塊が、
ふわぁっとこっちに入ってくる。



まじか。

虫だったらやだなぁ。
灯りを消したら、
また外に戻るかな?



スイッチの方に歩いて行こうとした時だった。





とんっ。とんっ。
僕の肩口を叩かれる。





は?
なに?なに?





ふっ。
首を回して肩の方を覗き込むと


白い服を着た
生意気そうな小さな子がそこに浮かんでる。








「おにいさん。ろまんすいらない?」


子生意気な真っ白い物体は、
小さな人間。

身体に似合わない大きな羽を背負って、
僕に話しかける。





「ふぇ?どういうこと?」




めっちゃびっくりしてるのに、
思わず返事をしちゃう。






「あのさ。
俺、見習い天使なんだけど、
誰かを恋に堕とさないと、
ポイントもらえないんだよね。」



そうなんだ?
天使になるのも、
ポイント制なんだ。

って、
驚くのはそこじゃない。


ぷかぷか僕の肩口に浮く
小さな天使が、

ろまんすの押し売り。




この天使の存在って。


僕、どう納得すりゃいいんだろ。






複雑そうな僕の顔など一切無視して、
天使は俺に話しかける。





「ほら。これ。
ろまんすをいっぱい詰め込んだ薬。」



取り出したのは白い袋。


ちょっとその袋から、
粉を取り出すと、
さらさらと綺麗な小さな結晶。


「なに?塩とか、砂糖みたいだけど。」



「ああ、妖精の粉、
ピクシーダストを知らないんだ。

みんなマジで欲しがるのに。

これをかけると、
ピーターパンのウェンディみたいに、
飛ぶことだってできるんだぞ。


これをさ。
相手に飲ませたいとか、食べたいものに仕込めば、
あんたが好きな人とロマンスに堕ちることができるよ。
これ、砂糖の味しかしないし。


だからさ。

あんた。
俺と組まない?」




よくわからない天使は、
悪魔のように
僕の耳元で囁いた。






⭐︎おしまい⭐︎






蒸し暑いんだけど、
ふわふわした
不思議な夜に書いて、
前のブログで
1話だけ上げたお話です。






(星空の画像は無料画像。
天使くんの画像は、
お借りいたしました。


画像が悪くて申し訳ありません。)


みなさんに、
続きを読みたいと言っていただけたので、
のんびりこちらで
書いていこうかなと思います。


もし、
よろしければ読んでいただけると
嬉しいです。




こちらは、
こちらで
前のブログでは
できなかった
のんびり自由なブログを
目指しています。


(前のところは、
結局一日三話に
縛られて、
がんばっちゃったから。)
  

不定期になると思いますが、
よんでくださると
嬉しいです。