中学生のころ塾に通っていた。
わたしはやる気がない上にいつも眠たい顔をした生徒だった。
実際いつも眠たくて、塾にいっても勉強せずに寝てしまっていた。
1対3人くらいの授業形式でそれをしていたので先生をよく苛立たせてた。
成績ももちろんよくない。
なんで塾に通っているのか、先生も分からなかっただろうけどわたしも分からなかった。
親だけはわたしに勉強してほしかったんだとおもう。

受験が近づくと、いよいよ先生にも「お前どうするんだ」と迫られるようになった。
わたしは人生に生きる意味を見出せずにいたのでもうどうでもよかった。
でもどうなってもいいです、とは言えない内気な性分なので、とりあえず推薦で探してみます、と言った。
先生は呆れ顔で「やるのは構わないけど、まあ無理だとおもうよ」と言っていた。

ある日推薦対策として作文を書くことになった。
わたしは自信がなかった。
勉強はできない、人生を終わらせる日を決めているほど生きる希望もない、家族との仲も悪く自分の存在すら認められない。
こんなわたしに一体なにを書けというのか。

先生は難易度の高い学校で過去に出題されたテーマをもってきた。
「あなたが大切にしている言葉はなにか」
というものだった。

わたしは「かつての一度も傷ついたことがないかのごとく、人を愛しましょう」という言葉を大切にしてると書いた。
主張から根拠、反論に対する考え、そして締めの言葉をかいた。
それを提出すると、先生はじっくりよんだあとに大絶賛してくれた。
勉強に対していつも厳しくて、わたしなどこの先生にはやる気のない生徒をもってしまったと思われていたに違いない。
この先生が「これなら受かる」と太鼓判を押してくれた。

文章で褒められる経験は何度かあったけど、これはその中でも嬉しかった思い出だ。