「鬼が豆鉄砲喰らった顔見たくないか?」
久しぶりに父から届いた携帯メール
父に会いに行くと
父はルパン三世の主題歌を口ずさみながら煙草をふかしてた
普段は煙草なんて吸わないのに
マルボロ
父は お手製の豆鉄砲を自慢してきた
割り箸と輪ゴムで昨夜作ったという
"ワルサーP2008"と名付けられたその豆鉄砲の威力は凄いものらしく
「節分には、鬼鍋を喰わしちゃるけんのー」と意気揚々
「とうさん、現代では調査目的でしか鬼を捕獲してはいけないんじゃなかった?
先日のニュース、知ってるだろう?
とうさんが鬼に豆撃つどころか、とうさんが過激な捕鬼反対者に撃たれてしまうよ」
僕は鬼の肉を食べたことがない
父が小学生の頃は、給食に鬼の肉がよく出たのだという
鬼の数が極端に減ったのは、
鬼保護を言い出してる連中が昔、鬼を乱獲したから
学校の先生は、そう言ってたっけ
鬼に豆をぶつける行為は野蛮だとか
鬼は観て楽しむものだとか
そういうことを言う人も このごろは少なくない
父は黙って、豆鉄砲を解体し始めた
いつのまにか 父の背中は小さくなっていた
自称悪魔の父は、寂しそうに言った
「我が輩、節分には豆を10万85粒食べるので、仕入れておいてくれ」
「とうさん、そんなに豆食べたら、お腹こわしちゃうよ
節分には美味しいロールケーキを買ってくるから、恵方に向かって丸かじりしましょうね」