アイツとの出逢いはイイモノではなかった
第一印象はデケェーヤツ
それだけだった。
俺の役は優柔不断な女にだらしのない先輩と言うものだった。
アイツはその見た目と人気でクラス1の人気者でヒロインとそー言う中になる役だった。
ヒロインの元カレ役でもあった俺と傷付く彼女を支えくっつくアイツとは撮影以外でもあまり関わらない方が役的にも良いと離れていたのに。
アイツは人が好きなようで
休憩になる度誰かを誘っては楽屋に戻りもせず話をしていた。
いがみ合う役だと言うのにアイツは俺にも声をかけ休憩は休憩ですよと笑っていた。
いつも人の中心にいるアイツがどこか羨ましく妬ましく感じていた。
撮影はなんとか終わった。
長く思った3ヶ月もなんだかんだ忙しく
あっという間だった。
これでアイツとも会うことはないと
思っていたのに
お疲れ様でした!これ僕の連絡先なんでと当たり前のように自分の連絡先を配り歩いているアイツ。
連絡しなければ良いと受け取り現場を終えた次の日
電話がかかってきたアイツから
アイツは配り歩いた連絡先を交換した1人から俺の連絡先をゲットしていたようだ。
この電話はもう二度と連絡先は簡単に伝えるのをやめようと決意した瞬間でもあった。
『打ち上げ&オンエアお祝いってことで飲みましょう!。僕の家の住所送っておきますのでよろしくです!。』
ドラマのオンエア前に宅飲みする話になった。
あまりの勢いに嫌だとも言えないまま。
その後もなにかと理由をつけては電話をしてくるアイツをだんだん可愛いと思うようになっていた。
人との関わりをめんどくさいと思って避けて1人で生活していたのに。
当たり前のようにくる連絡をいつしか楽しみにすらしていたんだ。
ドラマのオンエアが近くなってアイツは番宣に忙しそうだった。
「宅飲みはなしかな」少し寂しく感じる自分に驚いたがホットしていた。
オンエア前日
アイツから電話が入る。
『送った住所分かりますよね?来てくださいよ!待ってますからね!』
アイツは本当に勝手なやつだ。
「急に連絡してきて来いってお前何様だよ」
嫌みたらしく言ってやっても
『入って入って、ソファーに座っててください』
まるで聞いてやしないアイツ
座って待ってるとお洒落なキッチンからワインとつまみを持って『赤しかないんですけど飲めましたか?』「あぁだけどビールのがいいかな」『今日はお祝いだからワインです』
本当にこいつは話を聴かないやつだ。
それからワインを飲みながら俺らはクダラナイ話や明日のドラマの撮影中の話などして過ごした。
「うぁもう、こんな、時間かよ」『泊まって平気ですよ』「着替えもないし帰るって」『僕の着たら良いですし明日の現場って○○でしょここからのが近いから気にせず泊まってください』「あーそんな言うならそーすっかな。」「風呂借りるわ」『どうぞどうぞ』
こんな風に自分の家以外に泊まるのは久しぶりだ。
『お湯加減大丈夫です?服とタオル置いときますね』「あぁ悪いありがとうな」
「風呂ありがとうな」
『お茶入れといたんで良かったら飲んで寝てください』
こんなに気が付く気のきくやつだモテるんだろうななんてそんな事を考えながら初めての泊まりは終えたんだ。
ドラマのオンエアも始まるとアイツは更に人気になってテレビへの露出も増えて、俺と言えばそれを家で見てるだけで変わりもしない日々を送っていた。
送っていたのに番宣で時々顔を合わすが話す暇もないほどだったアイツがナゼか俺の家にいる。
『本当に困りますよねー家にまでくるなんて』「だなー」『泊まらせてもらえて良かったですよー』「だなー」『…話聴いてませんよね?』「だなー」
『僕本当に感謝してるんですよ』「あーはいはい」
人気の出過ぎたコイツはファンに家バレしたのだ。
ここにも押し掛けてくるかもしれないがその時はその時だろう。
「いつまで泊まるつもり?」『落ち着くまでですかね』「いつだよそれ」
そんな会話をしたのが3ヶ月前
アイツはまだ俺の家にいる。
『置きっぱなし出しっぱなししないでって言ってるのに』
アイツはキレイ好きで世話焼きで
『ご飯出来ましたけど食べますか?』
気の使い方もしっかりしていて
『明日早いならもう寝た方が良いですよ』
おかんみたいなところもあった。
あまりに楽で1人が好きだった自分を忘れはじめていた。