空想世界 | 徒然なまま

徒然なまま

腐女子なやつが気ままに愚痴やら萌えやら死にたがりな内容をツラツラ書いているブログです。好き BL漫画(ねこ田米蔵さん)や(夏目イサクさん)若手俳優。舞台観劇が趣味 基本ミーハーで絡みは苦手です。以上


シングルファザーが1人
娘は今年で五歳
もう少しで小学生になる。





絵を描くことが特に好きな娘は本当に小さい頃からよく描いていた。
本当によく描いていた。


あの日は仕事でかなり疲れていて
娘とした約束をすっかり忘れていた
忘れていることすら気付かず
その日を過ごしたのだ。

娘は約束したことが守られなかったのに
責めることも約束は?と聴くこともなく
その日を過ごしたのだ。

次の日になり
普段のように目が覚め
仕事の準備をするために身体を起こすと
視界にあり得ない光景が映る。

「あっおはようございます。」
「おとーさんおはよー」

娘が見たこともない背の高い無駄にキラキラしている男といる。

「誰?」「えっ?あんた誰?」
理解が追い付かず
どうしてよいかもわからずにいた。

娘がやたら楽しそうに彼の側にいる
知り合いなのか?
それよりなによりどこから入った?
娘がいれたのか?

朝から回らない頭をフル回転させながら
彼を見る。

「おとーさんこの人はね王子様なんだよ」
突然娘がおかしなことを言う

「私が泣いてたら慰めに出てきてくれたの」
子供の妄想なのか
ふざけてるのか
さらに訳がわからなくなる

「僕は彼女の物語の中から来ました」
「泣いてる彼女を抱き締められないから」

おれの頭がおかしいのだろうか?

二人はボーゼンとするおれを無視して楽しそうに笑い合っている。

「さぁお食事が出来てます、食べてください」
娘が好きなものばかりの朝食

嬉しそうに席に付く娘
おれはどうすればいいのだろう。

「順を追ってちゃんと説明してほしい」
「あなたは誰ですか?」
「ここにはどうやって入ったんですか?」

「おとーさんだからこの人は王子様だよ!ほら!ここいなくなってるでしょ!」

そう言うと手にいつも絵を描いているノートを広げ見せてきた。

娘の描いた絵の王子様が消えているのだと言う。

《そんな分けないだろ》
言うつもりだったのに

毎日のように絵を描いてた娘
親だからもちろん何回もその絵を見ていた
だから
絵のなかの人物が本当に消えていることに気付いてしまった。

そんなハズはない
こんな非現実的なことがある分けない

そう言い聞かすが
「そうです!僕は彼女を守るために出てきました。寂しいと泣く姿を見ているのはつらい」

彼の言葉に
「よく泣くのか?寂しかったのか?」
思わず娘に尋ねてしまった。

娘は
一瞬どうしたらよいかわからないような顔をしたのち
「うん。昨日ねおとーさん、誕生日のお約束忘れて寝ちゃったから本当はすごく悲しかったの。それですこし泣いちゃったのごめんなさい」

あぁ
そうだ
昨日は五歳の誕生日だったんだ
なんて親だろう
楽しみにしていた娘に
ケーキの1つも買わず帰ってきて寝てしまうなんて

「ごめんなさいはおとうさんだ、忘れたりして悪かった。本当に悪かった。」
そう言って抱き締めると
大粒の涙を流しながら腕のなかで小さな娘が泣いている。

あぁ
何故大丈夫だと、思っていたんだろう
何故平気だと決めつけていたのだろう。

まだこんなに小さいのに
まだこんなに幼いのに

「そーです。親子は仲良くするのが良いです」

そうだった
こいつがいたんだった

「それであなたはなぜ?」

「彼女が寂しくないように彼女の心が傷つかないように側にいるためです僕はそう言う存在です」

彼は当然のようにそう言って自分の作ったご飯を誰より美味しそうに食べていた。

この日からおれの生活はこの謎の男と娘との3人の共同生活が始まったのだ。