愛を囁けば誰でも惚れた。
金を見せるとすぐに寄ってきた。
だから今回も楽だと思った。
会った瞬間恐怖を感じたのは
こうなる未来を知っていたのかもしれない。
世間知らずのお嬢様
印象はそんなものだった。
怪訝な顔してこっちを見ていた姿を今でも昨日のように思い出す。
警戒心も1ヶ月も経つ頃には溶け
無垢な笑顔を向けるようになっていた。
少しでも目を離すとケガをしていろんなことに興味を持ち体験したがるおてんば娘。
次第に名前を呼ばれることに心地好さを覚えて
次第に目を離したくなくなって
どこにいるのか気になって
何をしているのか気になって
当初の目的などどうでもよくなっていた。
彼女といたい
気付いたときにはそれだけになっていた。
本当を知られたくない
だが
現実は残酷に
本当がバレはじめて
傷付けまいと思った
泣かせまいと思った
結果は
誰よりも深く傷付け泣かせ
壊した
愛さなければ
出逢わなければ
心に何度も出た言葉は
彼女を見るたび書き消され
側にいたい
それだけで
動いてしまう