先輩
そう私を呼ぶ声を愛おしいと思うようになったのはいつだったのだろう。
先輩聞いてくださいよー
いつもいつも
帰りがけそう声をかけてきた
気付いたら仕事終わりに飲みに行き話を聞くのが当たり前になっていた。
先輩どうしたんですか?
周りに気付かれてないと思う不調な日
必ずそう聞いてきた
何も考えてなさそうなのによく見てんだなと
驚いたこともあった
先輩はどう思ってますか?
面と向かって
真っ直ぐコッチを見て話す姿を
なんてかっこいい奴なんだと思っていた
ちゃんと聞いてくださいとよく怒られたが
あまりに真剣な顔をするから
その顔にキスをしたくなっていて話どころではなかった
綺麗で優しくて気が利いてる
嫌になるところなんて1つだってないようなやつで側にいると気分が良くなった
先輩俺今度結婚するです
あの時笑っておめでとうと言えていたか
今でもわからない
先輩は結婚しないんですか?
お前が好きなんだよ
…そう言ったらお前はどうした?
言えない言葉を呑み込んで
俺は条件があるから中々難しいんだよ
当たり障りのない言葉でなんとか繋ぐ
先輩にも新居見に来て欲しいです
ごめんな
幸せなお前が好きだ
けど今は
その笑顔が少し辛いんだ
先輩と呼ばれることが心地よかった
先輩と慕われてるのが嬉しかった
けど
先輩でいるのが辛かった
先輩であるのが悔しかった