リクエストに応えてみよう。
あなたがもし、
「モーグル」というものに興味がなければ、
この先を読む必要は全くない。
「夏のモーグルレーンを攻める理由」とは!?
言うまでもなく、
「冬のモーグルレーンを攻める」ことが前提にある。
夏のモーグルレーンを攻めるために、
冬のモーグルレーンで練習している人を、
私は知らない。
では何故、彼らはモーグルレーンを攻めるのか?
まず考えられるのは、
彼らは、
「非常にまじめで勤勉である」
ということだ。
人間は、
「楽をするためにはどんな努力も惜しまない」
生き物である。
にも関わらず、
きれいに圧雪された広大なグルーミングバーンではなく、
(思い浮かべるだけで、よだれが出そうだ。)
滑りづらい起伏にとんだデコボコの斜面を、
コースを外すまいと一直線に滑り下りることに、
彼らは汗を流す。
あえて困難な道を選び、
その努力を惜しまないのだ。
これをもって彼らが勤勉でないと言うならば、
極度のMに違いない。
次に彼らは、
強い「生への執着」を持っているのではないか。
現代人は希薄になりつつあるが、
動物は生来「生きる本能」をその遺伝子に組み込んでいる。
考えてみよう。
あなたは、
海でサメに遭遇した時、
川べりの沼地でワニに出くわした時、
逃げ切る自信がおありだろうか?
およそ勝ち目はない。
動物はそれぞれに「自分の土俵」を持っている。
自分の実力もわきまえず、
他人のテリトリーを平気な顔で荒らして回るような
節操のない生き物は、
人間くらいのものだ。
では、雪山は誰の土俵なのか?
おそらく、雪山最強の生物は、
イエティ(雪男)で間違いない。
万が一、あなたがイエティに捕まってしまったなら、
その日の夕食の温かいクリームシチューは諦めた方がいい。
赤ん坊が手にしたソフトビニール人形のように、
見るも無残に弄ばれるだろう。
ならば、逃げるしかない!
そこで彼らは、
(イエティと遭遇するような)
よほど起こりえないであろう危険に備え、
自らコブ斜面という難しい滑走状況を想定し、
さらに最短ルートで(フォールラインに沿って一直線)
逃げ切る練習を一心不乱に繰り返すのだ。
しかも、
冬だけでなく季節が逆の夏の最中も、
わざわざ「おおやスキー場サマーゲレンデ」までやってきて、
モーグルレーンを攻めるのである!
私は確信している。
たとえ人類滅亡の時が来たとしても、
最後まで生き残り、
そして新しい時代を切り開くのは、
彼らである、と。