「剣道衛生」
剣道を稽古する者は、左記を守るべきである。
1:入浴
稽古をして汗を出したら、其日の内に必ず入浴する事、水を浴びたのは駄目である。
略法としては湯で股を洗うてもよい。
2:打たれて腫れたら
籠手が薄くて普通の所を打たれて腫れたら、小手の上部を全部厚くするか、暫時休むかせねば中々よくならぬ。
肘を打たれて腫れても、そうである。
次々打たれると中々なおらぬし、悪い癖もつく、それは肘をすぼめるのと、引っ込み思案になるから左右の釣り合いを崩すことになる。
左右同じ円でないと正しい太刀は出ないからである。
→私の場合、手袋を着装することで衝撃を軽減しています。
3:手足の豆(肉刺)
豆が出来て其儘稽古を続ければ、それが次第に大きくなるか破れるかして痛い。
それには焼きテープが最も良い。
用法は破れたら其皮を切って捨て、破れなかったら、破って切り捨てる。
そこへ焼きテープを付けて縛る。
それが木綿の普通の繃帯では隣の指にまた豆ができるから、薄い絹布がよい、或いは真岡の様な荒くないのがよい。
籠手を大きいのとかえなければ縛らずに巻くのがよい。
焼きテープを付ければ毎日一時間位の稽古続けても痛くない。
それは私の実験済みである。
4:打突の負傷
竹刀で打ったのは大した事はないが、突いたのは中々重い場合がある。
打身が手先なら、直ぐに水に漬けるか手拭抔をぬらして暫く冷やす。
氷なら猶よい。
それから本式の手当てをする。
突いたのなら横腹か胸であるから、内臓を痛めた場合が多い、先ず用心して感冒にかからぬ様にする。
打身薬を付け又は服用する。
次に
一、当分入浴を止める事、大体二週間位熱が出たら下熱する迄、大きく息をして内部が痛かったら痛みがなくなる迄。痛みがなくなり熱 も取れたら日に二度でも入浴するがよい。
二、胸だから腰迄は入れても良かろう抔(など)は誤り。
三、付け薬は、手に入らねば鰌(どじょう)の開いたのがよい。
骨をのけて皮の方を付ける。餘り乾かぬ内に付替えぬと除け難くなる。
患部が広ければ幾つも糸で縫うて付けてもよい。又一合も袋に入れて当ててもよい。万金膏も手軽な割合よく効く。
四、上手な柔道整復師か、上手な外科医にかかるとよい。
5:雜
食後直に荒い稽古をしてはならぬ。
普通は一時間以上経ってから。
荒い稽古はなるべくそれ以上経ってからがよい。
試合で夕方になる人は、鶏卵二個、多くて三個まで生で呑むと便利だし腹の工合もよい。多いと下痢するから却って悪い。
稽古着、袴を度々洗濯し、又道具も度々日光にあてるがよい。
之は衛生上の大事で、体育の一端である。