今日は、昨日の22時頃に所属剣友会での剣道稽古に関しての連絡で「今日(2月9日)の稽古は、積雪の可能性がありますので、稽古休止」となってしまい、剣道稽古ができない日となってしまったので、「面鳴り」での正面素振り30本→前進2本後進2本左右面素振り40本→正面素振り30本を行い、明後日に備えることにしました。
今日は手塚治虫の漫画について、メタモルフォーゼの方向性について少し考察することにしました。
昭和43年8月頃に、『上を下へのジレッタ』というデフォルメされてるとはいえ物語の登場人物も「刺激が強い」と発言するほどで、以前は「隠れた名作」とも「幻の傑作」とも言われ、中川翔子女史がヒロインである「越後君子」の役で出演したこともあり舞台版や完全版の影響で今では知名度が高くなっている、手塚治虫のメタモルフォーゼ観を十二分に堪能できると同時に、人間が持つ欲を風刺した漫画が、スクウェア・エニックスの『ライブアライブ』の「原始編」の元ネタの1つである『ギャートルズ』や藤子不二雄Aの『笑うせぇるすまん』の掲載誌として有名だった今は休刊した「週刊漫画サンデー」で連載開始しました。
『上を下へのジレッタ』が昭和43年8月頃連載開始した時、手塚治虫の漫画でメタモルフォーゼ要素が強い作品では『火の鳥 未来編』、『ガムガムパンチ』、『ブルンガ1世』、『ノーマン』が同時期に連載されており、小学1・2年生を対象とした『ガムガムパンチ』はガムを用いた「想像と創造」を前面に出し『マアチャンの日記帳』と同じように全体的に前向きな雰囲気が強く、話の展開は重いものの『火の鳥 未来編』に登場するムーピーという不定形生物の変身能力には「想像と創造」が良い意味で醸し出され、『上を下へのジレッタ』もまた「想像と創造」がデフォルメされた絵柄で社会風刺をしつつメタモルフォーゼが十二分に発現されました。
一方『ブルンガ1世』や『ノーマン』は、『上を下へのジレッタ』よりも対象年齢が低めですが、『火の鳥 未来編』、『ガムガムパンチ』、『上を下へのジレッタ』とは逆に「変身能力」が負の要素を伴って描写されており、「変身能力」という強大な力が邪な方向に使われる描写が多く、『ブルンガ1世』は悪魔が作り、姿や気性や能力は人間などの想像力・思念に影響される魔獣ブルンガの愛らしい姿と戦闘時の姿は「手塚治虫の子供向け漫画と大人向け漫画に関する葛藤の表れ」と評され、ブルンガとつがいであるブルンゴ絡みで負の要素が強く出ており、『ノーマン』に至ってはゲルダン人という「リザードマン」タイプの異星人(『ドラゴンボール』でいう、ババリ人のような種族)の特殊能力の1つが変身能力であり、「他の生物に対して悪影響を及ぼすブレス、再生能力、超能力」などを併用して邪な使い方をすることで主人公たちを追い詰めるという、同時期に連載されていた『アトム今昔物語』と同じくらい暗い物語展開となっていおり、手塚治虫が「漫画」に対する苦悩を感じさせる場面が多く「長い冬の時代」を予感させる描写も多いため、『上を下へのジレッタ』連載終了後が手塚治虫曰く「長い冬の時代」に本当の意味で入ったと言えるのかもしれません。
それでも、『上を下へのジレッタ』連載終了から『ブラック・ジャック』が連載開始されるまでの期間でも、私が好きな漫画である『百物語』のヒロインであるスダマや『マンションOBA』での妖怪や精霊たちのメタモルフォーゼからは穏やかさを感じますし、手塚治虫が「惻隠の心」と「仁義礼智信」を大切にした「真のヒューマニスト」と言われるのも理解・納得できます。
仁:思いやり
義:人としての道を踏み外さない
礼:礼儀作法を守ること
智:正しい判断・知恵
信:信頼・誠実
惻隠(そくいん)の情:
「弱者、敗者、虐げられた者への思いやりと共感」という意味で、
「人を思いやる心」
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