仁:思いやり
義:人としての道を踏み外さない
礼:礼儀作法を守ること
智:正しい判断・知恵
信:信頼・誠実
図書館で借りた手塚治虫先生の「異色作の中の異色作」といわれる『上を下へのジレッタ 完全版』を完読。
舞台版『上を下へのジレッタ』には、テレビ東京で放送されているアニメ版『ポケットモンスター』の劇場版で劇場版に登場する人物の声優でもある中川翔子もヒロイン・小百合チエ(本名・越後君子)役で出演したことでも有名であり、手塚治虫先生の「メタモルフォーゼ観」を堪能できる「隠れた名作」であり、空腹時にだけ絶世の美女に変身するという歌手小百合チエと、山辺音彦の自分の空想を他人に伝達する特殊能力・ジレッタの秘めたる力、ジレッタの力を利用しようとする門前市郎を通して人間の欲に対する問題提起をもしています。
手塚治虫は「基本的人権を虚仮(こけ)にしてはならない」、「戦争や災害の被害者を虚仮にしてはならない」、「特定の職業を虚仮にしてはならない」、「国民や社会的弱者を虚仮にしてはならない」と語っているだけでなく、「作家は権力の側に立ってはならない」と戒める明言した意味・理由が『上を下へのジレッタ』では語られており、「山辺音彦と四方山三平という漫画家」や「間リエに非難される門前市郎」の場面で顕著に表れています。

マンネリ化と経済優先に対する警鐘を少し感じ取れる場面。

「宇宙世紀ガンダム」は障害を持っている人々や社会的弱者や戦争の被害者を虚仮にするマンネリ化していますので、そのことに対する非難に置き換えても違和感無い場面。

「もう1人の手塚」である漫画家・島本和彦氏が関わった『機動武闘伝Gガンダム』は障害を持っている人々がひどい目に遭うマンネリだらけの「宇宙世紀ガンダム」よりも面白い、と例えると何と無く理解できる場面です。

この場面を見ると、手塚治虫に対する敬意がある安彦良和氏が、基本的人権を虚仮にする福井晴敏の『機動戦士ガンダムUC』でマリーダが精神に障害があるという理由だけで酷い目に遭う場面を描けと言われて大激怒したのも納得できますし、手塚治虫先生が再びこの世に漫画家として転生したら、山辺音彦と同じく『機動戦士ガンダムサンダーボルト』の太田垣康男に対してもこのように怒ると私は想います。
惻隠(そくいん)の情:
「弱者、敗者、虐げられた者への思いやりと共感」という意味で、
「人を思いやる心」
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