手塚治虫の『鳥人大系』という漫画を思い出し、今読み直してみると、火を使うことができるようになった鳥の進化、地球の支配者となった鳥たちの歩む道等、考えさせられることも多く、『火の鳥 未来編』と共通する「進化とは何か」という問いかけをはじめとした重い話が多いですが、時折出てくるギャグも在り、なんとなく『ポケモン』を連想してしまう自分の存在も在りました。
火を使う鳥の怖さは『ポケモン』でのファイアローの猛威を連想する人もいるかもしれません。『鳥人大系』の第2章でもその怖さが明確に描かれ始めています(ファイアローの頼もしさも納得できますが、私はキノガッサも好き)
私が特に好きなのは「ブルー・ヒューマン」と「かもめのジョンガラサン」の2章です(ドゥブルゥドという鳥型宇宙人が登場する話や「スポークスマン」、「ポロロ伝」も好きです)
終盤の「ブルー・ヒューマン」は私がチルタリスも好きなこともあって、主人公の鳥人の少年に関する展開は一昔前のチルタリスの不遇を思い出してしまいましたが、
ぼくたちの世界は 欲と うそと 暴力と 病気の うずまいている どうしようもない地獄なんですよ
ぼくだって 受験地獄や 交通地獄や 公害の中で 毎日暮らしてるんです
ぼくこそ幸福をさがしたいくらいです
これは重い言葉です。人間と同じであるからです。
『鳥人大系』の鳥人たちと違い、チルタリスは今ではメガシンカできるから、人間もメガシンカすべき必要がある生き物なのでしょうか?という疑問さえも湧き上がります。
「かもめのジョンガラサン」は、最近の『ポケモン』ではペリッパーが「しあわせたまご」を持っていることもあるので、先述の「ブルー・ヒューマン」と共に、「幸福とは何か」、という問いかけであることに気付きやすい話です。
最後まで『鳥人大系』を読むと、現状では虫・格闘タイプであるフェローチェで飛行・炎タイプのファイアローに勝つのは難しいですが、岩タイプの技習得させてどこまで頑張れるのかを試したくなる(無謀な)自分さえいます。
手塚治虫はすごい漫画家であることを実感させられる漫画は多いですが、中編である『鳥人大系』は重い話ですが読む価値はあるといえます。