「ニドラン」系という哺乳類に近い生物である獣歯類(哺乳類型爬虫類)をモチーフとしたポケモンの発想は、ゲームに出てくる古生物は恐竜が多い中で、獣歯類をモチーフとした生物を登場させた発想は今でもすごいと思いますし、今でも哺乳類以外の獣歯類がゲームに登場することはあまり聞いたことが無いです。
『ポケモン』の話でなく、現実世界での生物学に関する話で興味深い話となると、「アフターマン」のドゥーガル・ディクソンや「祖先の物語」のリチャード・ドーキンスの著作も好きですが、古生物学で現在興味深い動物の話では、
ボノボやチンパンジーとの共通祖先から分岐してすぐの「サヘラントロプス」、
「テトラケラトプス」よりも哺乳類に近づいた獣弓類の「ラーニムス」、
古虫動物に近く、後口動物では始原的といわれる「サッコリタス」、
触腕が1対で殻を持たない初期の頭足類「ネクトカリス」
の事が特に気になります。
「サヘラントロプス」は分岐してすぐではなく、「ヒト」と「ボノボとチンパンジー」の共通祖先という可能性も考えられますし、「ネクトカリス」は頭足類が1対の触腕を得てから他の頭足類とは別の道を選び、体を大型化させるよりも先に殻を退化させて泳ぐ速度を高める進化を遂げた可能性も考えられますし、すぐに結論を出さずに慎重にならざるを得ないのは古生物学の醍醐味とも言えます。
ポケモンの中でも、ミズゴロウ系やミニリュウ系、ヌメルゴン系といった、両生類と有羊膜類の中間段階の姿のポケモンは魅せられる何かを秘めています。
事実、現実世界での石炭紀前半、いわゆる「ミシシッピ紀」の初めから中ごろでは「トゥールネーズ・ギャップ」或いは「ローマーズ・ギャップ」と言われる、シダ植物が主体となって形成した大森林の土壌が酸性だったため化石が残りづらいものの昆虫類だけでなく両生類も大規模な適応放散をしたのは事実ですし、未知の有羊膜類を含む両生類についてあれこれ考えてみるのも楽しいと思います。