その日ひなたは久しぶりに
鈴音から電話がかかってきた。
「ねえ、週刊誌見たわよ」
ひなたは鈴音に「おめでとう」と
言いたくてしょうがなかった。
それを我慢してたのは、
自分の気持ちを整理したかったせいかもしれない。
「おめでとう」と言いたい気持ちが、
一点の曇りもなく癒える時間が欲しかった。
気持ちの中にわずかなジェラシーでさえ、
残っていないピュアな気持ちで、
鈴音に言いたかった。
「おめでとう」と。
心の底から喜べる瞬間まで、
ひなたは鈴音に連絡をとらないつもりだった。
だからいきなり電話がかかってきた時は、
少し躊躇った。