タイトル 「天使の羽」 985 | 可愛い君に愛を囁きたい


「黒岩さんとは会ってるの」


 婚約者の黒岩は腕利きの外科医だ。


 毎日手術に追われ、あまり会えてない。


 でもその方がいい。


 無理に時間をつくってまで


 会いたいとは思わない。


「しょうがないわね……。


 まあ、いいわ」


 こんな気持ちで本当に結婚していいのだろうか。


 みさきの気持ちは揺れた。


「マリッジブルーよ。心配ないわ。


 あなた、心療医なんだから、自分で治療しなさい」


 そう言った後、小春はぶきみな笑みを浮かべた。


 結局話しはそこで中断された。


 みさきは小春に従うしかなかった。


 それは負けたわけじゃない。


 任せてもいいと、その時直感したからだ。



 母が考えもなしに


 丸投げする筈はないと信じているからだ。