港が見える丘公園では、この公園ってビーズの『タイム』にも歌われてるし、小田和正がオフコース時代に歌った曲。『秋の気配』の中に出てくる公園は、ここのことらしいよ。
小田和正の名前が出た瞬間、桃花は高校時代にタイムスリップした。
憎き森ガール。
私の初恋を奪った女。
あの女が好きだった小田和正の歌に、この公園が出てくるのか。
まさか自分が小田和正の話に聞き耳をたてるなんて。
あの頃はフォーク全体が最悪で、気持ち悪くって、特に谷村新司がネタになってたっけ。
「谷村新司ってさ、漫画に出てくるスケベ親父顔だよね」
「変態顔を漫画に書けって言われるとさ、谷村新司、書くと良くない」
「そう言えば、昔、アリスってグループだったって知ってる?」
「アリス?」
「あの顔でアリスだよ、超ウケル」
「ジョニーデップ気どりって、ウケルんですけど……」
「なんかさ、ど変態丸出しって、感じしない」
「フィギュアの人形を集めてそうじゃない」
ほんの一年前なら、うけつけなかったものが受け入れられる現実。
これこそが愛なのだろうか。
まあルカはそれなりにデートプランを考えて、リサーチした話をしてるのかもしれない。
でも実際、桃花にはまったくピーンとこない。
かろうじてビーズがかする程度だが、基本、日本人のヘビメタは好きじゃなかった。
もっと日本の曲を聴いておけば良かったと、その時思った。
ルカは日本の音楽好きなのだ。
これはすでに、森ガール応用編に突入してる。
これが必ずしも森ガールデートというわけではないのだろう。
とにかく森ガールはイケメンを釣り上げる餌に過ぎないのだ。
釣り上げた魚ちゃんが、イケメンなら、その男子の好きなものに合わせるのが一番だ。