タイトル「森ガールと盛りあガール」 163 | 可愛い君に愛を囁きたい

それからひと月もしないうちに、インディーズレーベルから「桃花スタイル」の名前で、桃花はソロ・デビューを果たした。

もちろん、ユニオン・キラー・サッドネスじたいも好調でメジャーデビューに向け、準備も整っていた。

そして「桃花スタイル」はあっという間に話題となり、インディーズレーベルでは異例の売り上げを記録した。

ヘビメタ要素が消えうせ、ロック調のポップスといった雰囲気の曲。

その題名は「いつか結婚しようね」という浮かれた題名だった。

「まだ、結婚には早いけど

 私の気持ちは決まってる

 だからいつか結婚したいね

したいねをしようねに変えたいね」

それはもちろんルカに宛てたラブレターだ。

ただそれに対する答えはまだない。

プロポーズはまだまだ先だろう。

 曲がヒットしたせいで、仕事に終われるようになり、ルカともなかなか会えなくなっていた。

 桃花はミニアルバムに収録される曲をせかされていた。

 そんな日々がちょっとだけストレスに感じ始めていた。

 それでもファーストコンサートをするからルカにチケットを送っておいた。

 ファーストコンサートの真正面の席。

 特等席をルカのために用意した。

 前日にメールでコンサートに来る確認をとり、一人テンションが上がりまくっていた。

 それは密かに決めたサプライズ。

 いや、プロポーズをしようと決めていたからだ。

 気持ちをこめて、「いつか結婚しようね」をルカだけのために歌おうと決めていた。