それからひと月もしないうちに、インディーズレーベルから「桃花スタイル」の名前で、桃花はソロ・デビューを果たした。
もちろん、ユニオン・キラー・サッドネスじたいも好調でメジャーデビューに向け、準備も整っていた。
そして「桃花スタイル」はあっという間に話題となり、インディーズレーベルでは異例の売り上げを記録した。
ヘビメタ要素が消えうせ、ロック調のポップスといった雰囲気の曲。
その題名は「いつか結婚しようね」という浮かれた題名だった。
「まだ、結婚には早いけど
私の気持ちは決まってる
だからいつか結婚したいね
したいねをしようねに変えたいね」
それはもちろんルカに宛てたラブレターだ。
ただそれに対する答えはまだない。
プロポーズはまだまだ先だろう。
曲がヒットしたせいで、仕事に終われるようになり、ルカともなかなか会えなくなっていた。
桃花はミニアルバムに収録される曲をせかされていた。
そんな日々がちょっとだけストレスに感じ始めていた。
それでもファーストコンサートをするからルカにチケットを送っておいた。
ファーストコンサートの真正面の席。
特等席をルカのために用意した。
前日にメールでコンサートに来る確認をとり、一人テンションが上がりまくっていた。
それは密かに決めたサプライズ。
いや、プロポーズをしようと決めていたからだ。
気持ちをこめて、「いつか結婚しようね」をルカだけのために歌おうと決めていた。