タイトル 「天使の羽」 856 境内の前に来ると、 沙希は車椅子から立ち上がった。 その様子を鈴音はまじまじと見つめた。「やるね」 鈴音がため息を漏らし、 沙希をいろんな角度から見つめた。「恥ずかしいよー……、 鈴ねえ、あんまり見つめないで」 沙希は車椅子にまた座った。「見すぎ、鈴音」 ひなたは、そう言って、賽銭を投げた。 お百度詣りのおかげかな……。 願いをかなえてくれてありがとう。くららが立った。それは知花くらら。