タイトル 「天使の羽」 58 | 可愛い君に愛を囁きたい

テレビなんかで


いろんな世界的医師の


手術風景を見るのが


みさきの趣味だ。


鮮やかに捌かれていく肉片。


あふれ出す血。


変な興奮を覚えるのはなぜだろう。



そんな瀕死の肉体にメスを入れ、


悪魔のこぶたちを除去していく風景を


何度繰り返してみてきただろう。


ため息の出るようなメス捌き。



彼らのメスはそれ自体が


生き物であるかのようでさえある。


そんな権威たちに


母はぜんぜんひけをとらない。


感動だ。


みさきは小春の手術の腕に


感激していた。