タイトル「森ガールと盛りあガール」 5 | 可愛い君に愛を囁きたい

そして付き合い始めたのだ。

絵に描いたような森ガールと。

なんでも、その女が徳永英明が好きで。

小田和正が好きで、親父好きな女だったわけよ。

だから、文化祭で弾き語ってたわけよ。

その女にむかってね。

バカじゃないの。

「エアロスミスのことをエアロビクス?って聞き返した子よ、あんなのがいいわけ」

女のためにメタルを捨てるのか。

魂をそんなにやすやす売り渡せるのか。

その時はそう思ったわけ。

「ずいぶん、森ガールって感じよね、大樹の彼女」

 友人の美羽がその女を見て、そう言った。

 その時初めて森ガールという言葉を知ることになる。

でもね、その日から森ガールが気になってしょうがないわけ。

森ガールって何。

桃花は森ガールと聞いて、すぐに赤ずきんちゃんが思い浮かんだ。

だから狼たちに狙われるのか。

森ガール。

狙われるのは、そんな隙だらけの格好だからでしょ。

誘ってるってことじゃない。

尻軽女よ、きっと。

本屋に行くと森ガールという文字が目に飛び込んできた。

そして森ガールをなんとなく調べてる自分がいるわけ。

そんな自分が情けなかった。

森ガールについてインターネットで調べてみた。

そのサイトに行けばなんとなく詳しくなれそうだな……。

そんなこと、チラッと思った自分が嫌になった。

負けてる気がした。

フラれた男の趣味を追いかけようとしてる。そんな気がした。

それからと言うもの、森ガールを意識しつつ、遠ざけていた。

もう、これ以上知りたくないと思ったわけ。

でもなんとなく森ガールのイメージみたいのは掴めた気がした。

自分が絶対にしないような服装を着てる。

森ガールを知ると、今まで気にならなかったものが見えてくる。

私を応援する女子たちにもいっぱい森ガールがいる。

実は結構流行ってるらしい。

森にいるような女の子。

それが森ガールの定義らしい。

芸能人で言うと蒼井優らしいけど、蒼井優は森に住んでるわけ。

住んでたら、いなかっぺじゃないの。

大体、誰よ、蒼井優って。

子供の頃、おはスタに出てた子でしょ。

子供じゃない。小学生でしょ、どうせ。

それしか知らない。

いいじゃない、興味ないんだから。

憎い。憎いわ、森ガール。

大体、森ガールの格好で森にいたら、妖精と言うより幽霊に見えるに違いない。

私の天敵。森ガール。

森で猟師に撃ち殺されたらいいのに。