タイトル 「天使の羽」 113 | 可愛い君に愛を囁きたい

母は冷静だ。



病院で自殺者が出て、


病院中が大騒ぎしてても、


行動にブレがない。



みさきは改めて


小春のすごさに尊敬すらした。




「あれから沙希ちゃんのお父さんって、


 一度くらい、病院に来てる?」


 小春は沙希の


 担当看護師の


 結城紗枝に聞いた。


「それが一度も来てないんですよ」



「そう……。困ったわね」


 奈菜が自殺したせいで、


 沙希の身内は拓海だけになった。


 沙希の今後のことで


 拓海に連絡する必要性があった。



 拓海が電話をかけてきたのは


 その日の夕方6時過ぎだった。