タイトル 「天使の羽」 15 狭い部屋に奈菜を招きいれ、 机をはさんで、小春とみさきは座った。 みさきは奈菜の目を見ることができなかった。 小春が沙希の病状を話すと、 奈菜はさらに泣き崩れた。 マスカラが黒い涙の筋を強調してた。 奈菜と別れ、二人きりになると、 小春はきびしい顔をした。「取り乱す患者は多いわ、でも慣れなさい」 事務的に処理する母親を見て、 やっぱり医者を辞めたいと思った。