「って、ことはやっぱり……」
「別に女子が好きなわけじゃないし……」
「本当に……」
桃花は疑うように聞いた。
「だから男が好きだし」
「えっ?聞こえない?」
「男が好きだってば」
「えっ?」
「言わせたいだけでしょ」
「この男好き」
「言い方、変!そうじゃないし」
愛海は少し怒ったような顔をした。
それが可愛い。
可愛くて抱きしめたい衝動に桃花は駆られた。
私、女子もいけるかも……。
愛海なら充分にアリだ。
「男子って、なんか、怖いじゃない」
うーん、可愛い、守ってあげたい。
「それに……」
愛海は少し変な顔をした。
なんかトラウマでもあるのかな。
男に興味がないなんて。
「でも恋愛には憧れはあるのよ。でも、男子がどうも……」
これはこれで問題かも。
こんなに可愛いのに、三十歳になっても一人、四十歳になっても一人、そして可愛かった面影もなくなって、一人で枯れていく寂しい未来が目に浮かぶ。
せっかくこんなに可愛く生まれたのに、それじゃ、可哀想ではないか。
「私が誰かみつくろうか?合コンくらいなら」
「止めて、絶対に止めて!」
愛海は烈火のように拒絶した。
「うん、分かった」
まあ私がセッティングできるのはボディビル先輩や、フレディ先輩みたいな変なのばかりだし、まさか、うちのバンドメンバーは野獣だし、まあ、いいのがいたら私が付き合うし。
ルカ……。
今何してるの……。
私、まだ整理できないよ。