タイトル「森ガールと盛りあガール」 10 | 可愛い君に愛を囁きたい

森ガールの服装で歩いてみる。

そのことじたいがドキドキだ。

それは恥ずかしくてまともに歩けない。

うつむきがちになってしまい、人の足元しか目に入ってこない。

森ガールの服装で街を歩くのは、おろしたてのヒールを履いてるようだった。

それでも男子が私を目で追う。

産まれて初めてのことだ。

そう、私は自分で言うのもなんだけど、美人な方だ。

小学生の頃までは男子にもモテていた。

何人もの男子に告白されたじゃない。

子供だったんだ、男よりも、自分のかっこよさを追及してしまった。

なんてもったいないことをしたんだろう。

そうだ、やっぱり私はモテていた。

そんなことさえ忘れてた。

考えてみると、モテるのが面倒臭かった。

男なんて別にどうでも良かった。

なのにあいつらは人の心に擦り寄ってくる。

好きでもないやつに好きと言われると、それだけで面倒だ。

何、勘違いしてるんだと思ってしまう。

変に喋りにくくなる。

そんなことがたびたび続いて面倒臭くって、そう、私は反省したのだ。

自分に隙があるから、男がつけあがるんだってね。

それからだ、私が男に隙を見せないかっこいい女子になろうと決心したのは。

そうだ、やっぱり私は美人だ。

モテないわけじゃない。

私の父はそれほどかっこよくはない。

しかし誰もが憧れるお金持ちの弁護士。

お金をそこそこ稼いでるみたいだから、やり手弁護士なのだろう。

悪徳弁護士かどうかまでは知らないが、いっぱい弁護士を雇って、まあニュースになるような事件の弁護をしてたりする。

自慢するほどのことじゃないけど、まあ、父はきっと自分のことをやり手弁護士でかっこいいと思ってる気がする。

いくら金稼いだって、ブ男はブ男ですから。

まあ母はそんな父に騙されたみたいだけど、私は騙されないわ。

男は金じゃない。

男は顔よ。

金なら私が稼げばいいけど、顔は産まれついてのものじゃない。

私にはどうにもできないし、私が応援してもブ男はイケメンにはならないわ。

それに結婚して、子供ができて、私に似たらいいわよ。

でもブサイクな父親に似たら目も当てられないじゃない。

私のおなかの中でブサイクが成長していくのよ。

そして一生涯、ブサイクな子を私の子供と愛情を注がなきゃいけないのよ。

そんなの嫌よ。

子供がかっこよかったら、素敵。

可愛かったら、さらに素敵。

だから彼もかっこよくないと。

私の母は飛びっきりの美人で、娘の意見としては、美人の母が金目当てで、弁護士と結婚して産まれたのが、私というところだろうか。

まあ金目当てじゃないとしたら、母は男のセンスが悪すぎる。

まあ私は顔は母似で、頭の良さは父親譲りだから満足だけど……。

だから本気を出せば、モテるに決まってる。

メタルファッションに身を包みさえしなければ、男子のハートは釘付けだ。