タイトル 「天使の羽」 61 公安にだけ会うなんて、 007好きの母だけに ミーハー心で会ってるのだろうか。 最初、みさきはそう思ったが、「あなたたちのつくり話の安っぽさに 呆れたわよ」「そうですか……。 結構世間を欺けたと思うんですが……」 そして母は本棚から 漫画のブラックジャックを取り出した。 「よく似た話が載ってるわ」 母が漫画なんか読むんだ。「これは貸しだからね。 いつか、返してもらうからね」 何の話だろう。 警察との貸し借りって……。 みさきには何の話か、 さっぱり分からなかった。