タイトル「森ガールと盛りあガール」 50 | 可愛い君に愛を囁きたい

夏休みになると、故郷に戻った。

もちろん、ピンクのかつらをかぶって、レザーに身をくるみ、地元に凱旋よ。

地元に戻るのは楽しみ半分、心配半分だ。

森ガール化してる自分を、いきなり180度元に戻さなきゃいけない。

今でも方言がたまに出るように、森ガールが地元でも出るかもしれない。

そして一番落ち込むのはルカに会えなくなることだ。

ルカがいなかったら、きっと夏休み中実家で過ごしたかもしれない。

でもスカイプ使えば、テレビ電話で顔見ながら話せるし、実家にどれくらいいるか、正確には決めていなかった。

水着を着たくないということもあり、夏はなるべく実家に避難しておきたい気持ちもある。

でも所詮テレビ電話はテレビ電話だ。

パソコン上じゃ、温もりも伝わらない。

キスがしたいと思った時、触れられないなんて。

そう思うと、今すぐにでも戻りたい。

パソコンの電源を入れる前に、桃花は森ガールに変身した。

まあ、ルカの前だけはブリブリに切り替えないとね。

部屋に籠もってこっそりやり取りしないと。

まるで鶴の恩返しだ。

パソコンのモニターを通して、キス顔をしていると、母が呼ぶ声がした。

いきなり、昔のバンドメンバーが尋ねてきたのだ。

慌てて、ルカに「友達が来たから、後で会おうね」とパソコンを切った。