タイトル「森ガールと盛りあガール」 65 | 可愛い君に愛を囁きたい

「どうしてって?」

「普通、デートって言ったら、ディズニーランドでしょ」

 私は何を言ってるんだろう。

「えっ、ああ、ディズニーねえ……」

 ルカは微妙な反応をした。

 何かディズニーランドに嫌な思い出でもあるんだろうか?

「どうしてディズニーランドじゃないわけ。どう考えたって、あっちの方が近いでしょ」

「何、怒ってるの」

 怒ってる、私が……。

 そんなことはない。

 ただ、そう、私に疾しい気持ちがあるからだ。

「ディズニーって、なんか嫌いなんだよね」

 なに、なに、ディズニーランドが嫌いな人がいたのか。

「どうしてよ、夢の国じゃない」

「だって……」

ルカはなんか言いにくそうに口ごもった。

「何、ディズニーランドの何が嫌なの」

「だって、ヤンキーの親子を見てみなよ。みーんな、ミッキーのペアルックじゃないか。公園で金髪のヤンキーあがりみたいな母親はみーんな、ミッキーマウスだ」

 はあ……。

 そこなんだ、引っかかってるところ。

「ディズニーランドなんか、ヤンキーだらけに決まってる。あそこはヤンキーランドだ。絡まれたらどうするんだよ」

 なんだ、このヤンキーに対するトラウマは。

 そんなにヤンキーが嫌いなんだ。

 情けない。

あんた、男でしょ。

「僕はあんなヤンキーの巣窟なんかいかないから」

「じゃあ、いい、おろして」

「えっ?」

「ここでおろして」

 思わず、ルカは車を止めた。

 桃花はカーナビで現在地を確認した。

 用賀だ。

 田園都市線に乗り込めば、今からでも間に合う。

「私も湘南平なんかいかないから」

 そう言って、桃花は車を降りた。

 そして、後ろを振り返りもせず、駅へ走った。