タイトル 「天使の羽」 906 | 可愛い君に愛を囁きたい


「でも彼は逃げた。


 それは父親としての覚悟がないからよ」 


 あのまま置き去りにすれば、


 母親の奈菜の虐待の犠牲になることは、


 分かっていたはずだ。


「そんな彼に沙希ちゃんを育てていけると思う。


 結局、路頭に迷ってしまうかもしれない。


 ならば、父親であるべき決意のない人に、


 父親だと名乗ってほしくないわ」


 小春の言うことは間違っていない。


 正論にきこえる。


 でも本当に正しい判断なんだろうか……。