ふと、大樹の手が触れた。
ドキッとした。
そのまま手を引っ張られた。
大樹の腕の中に引き込まれた。
抱かれる。
それならそれでいい。
いや、嬉しい。
と、玄関のチャイムがなる。
これは救いの手なんだろうか。
私の中の小さな迷い。
それともただ邪魔なだけの音だろうか。
「誰か来たよ」
桃花は大樹の目をじっと見つめていった。
大樹は面倒臭そうな表情を浮かべた。
「いいよ、無視すれば」
そう、大樹はもうすっかり戦闘モードに入ってる。
野獣スイッチを押してしまったのだ。
大樹が桃花の肩を抱き寄せ、キスをしようとしている。