気の抜けた感じでマンションに着いた。
ルカが玄関の前でひざを抱えて寝ていた。
なんてひどい女だろう。
桃花は自分が嫌な女になった気がした。
ルカを起こすと、ルカは桃花に、「ごめん」と誤った。
バカ、謝るのは私のほうだ。
「今度のデートはディズニーランドにするから」
そう言ったルカを可愛いと思った。
本当に馬鹿なんだから。
私をどんだけズルイ女にする気。
「とにかく部屋に入りなよ」
ルカを部屋に入れた。
ルカの体はすっかり冷えてしまっていた。
本当なら抱きしめて、暖めてあげたいのに。
「本当にごめんね」
桃花は大樹を振り切れない想いを謝った。
ルカがキスをしようとした。
それを桃花は突き放した。
ああ、今はだめだ。
「ドサクサにまぎれて調子に乗らないで」
結局、その日、ルカは桃花の部屋に泊まっていった。
ルカはほっとしたのか、すぐに寝息をたてた。
ルカの寝息を聞きながら、桃花はなかなか眠れずにいた。
こんなフラフラしてちゃ、だめだ。
どっちか、決めなきゃ。
ルカの横顔を見てると、落ち着く。
そっと、ルカの手を布団の中で、握った。
ルカの手がその手を強く握り返してきた。
えっ?起きてるの?
ググオー!グオー!
ルカのいびき。
恐竜の叫び声か。
このタイミングでそんないびきって……、少しもロマンチックじゃないよ。
寝てるんだ、やっぱり。
まったく蛙が車に轢かれたみたいないびきかいちゃって。
さすがに寝てる時は油断してる。