タイトル「森ガールと盛りあガール」 67 | 可愛い君に愛を囁きたい

気の抜けた感じでマンションに着いた。

ルカが玄関の前でひざを抱えて寝ていた。

なんてひどい女だろう。

桃花は自分が嫌な女になった気がした。

ルカを起こすと、ルカは桃花に、「ごめん」と誤った。

バカ、謝るのは私のほうだ。

「今度のデートはディズニーランドにするから」

 そう言ったルカを可愛いと思った。

 本当に馬鹿なんだから。

 私をどんだけズルイ女にする気。

「とにかく部屋に入りなよ」

 ルカを部屋に入れた。

 ルカの体はすっかり冷えてしまっていた。

 本当なら抱きしめて、暖めてあげたいのに。

「本当にごめんね」

 桃花は大樹を振り切れない想いを謝った。

 ルカがキスをしようとした。

 それを桃花は突き放した。

 ああ、今はだめだ。

「ドサクサにまぎれて調子に乗らないで」

 結局、その日、ルカは桃花の部屋に泊まっていった。

 ルカはほっとしたのか、すぐに寝息をたてた。

 ルカの寝息を聞きながら、桃花はなかなか眠れずにいた。

 こんなフラフラしてちゃ、だめだ。

 どっちか、決めなきゃ。

 ルカの横顔を見てると、落ち着く。

 そっと、ルカの手を布団の中で、握った。

 ルカの手がその手を強く握り返してきた。

 えっ?起きてるの?

 ググオー!グオー!

 ルカのいびき。

 恐竜の叫び声か。

 このタイミングでそんないびきって……、少しもロマンチックじゃないよ。

 寝てるんだ、やっぱり。

 まったく蛙が車に轢かれたみたいないびきかいちゃって。

 さすがに寝てる時は油断してる。