「サイエントロジー」とは
アメリカのフロリダ州クリアウォーターに本部を置く、新興宗教団体です。創始者L・ロン・ハバードが1954年に創設しました。

 この、L・ロン・ハバードという人物は(1911年_1986年没)アメリカのSF作家で、1954年に最初に出版された『ダイアネティックス』というセルフヘルプ・システム(いわゆる自己啓発)を発明し、そこからハバード独自の教義と儀式を付け足して宗教に発展させ、「サイエントロジー教会」を設立しました。
しかし、このサイエントロジーはハバードの
欲望の追求に他ならない悪徳宗教でした。
これは皆様もよく知る通りで、日本でも教祖やその家族の金欲生活のために人々を騙し勧誘し、存続している新興宗教は数多くありますね。
しかしそれだけで片付けるにはサイエントロジーは規模が大きく、国際的にもかなり問題視された団体として有名なのです。


 映画評論家の町山智浩氏のラジオ出演の録音ビデオが有名で、知っている方も多いかもしれませんが、サイエントロジーのことを手短に面白おかしく説明してくれています。
話の中で、サイエントロジーの信者で広告塔のトム・クルーズの話も詳しく語っています。
ちなみにもう一人の広告塔であるジョン・トラボルタについても少し話しています。


⚪「町山智浩 全米騒然、トム・クルーズの
  秘密を暴いたドキュメンタリー映画 
  たまむすび」
   町山智浩たまむすびさん配信
    (2015/4[20公開)

⚪「町山智浩が「コラムの花道」で
 トム・クルーズとサイエントロジーを語る」
   John kubotaさん配信
     (2017/8/18公開) 

 L・ロン・ハバードは1960年代売れないSF作家だったんですけど、「ダイアネティックス」という啓発本を書いて当たり、これを宗教化していったんですよね。
(最初はダイアネティックスを科学だと言っていましたが…)サイエントロジーは教義が秘密であり、たくさんの修行をして格が上がっていかないと教えてもらえない仕組み。寄付もいっぱいしないといけない。だけど、今まではそういう訳で秘密とされていた教義だったんだけど、だんだん内部からその秘密の教義が漏れてきたんですよ。

 1986年にハバードが死亡して、その後のトップをまだ当時26歳だったデビット・ミスキャビッジがなったんですけど、この新たな指導者が自分の気に入らない上層部の幹部の粛清を始めたんですね。そしてこの権力闘争に負けた幹部達などが集まって、サイエントロジーを告発する証言を次々としだしたんです。
それは教団のNO.2~NO.3の人が抜けて、実はこういう事をしていましたとか言っているんです…。

  そして教団を辞めた幹部達の証言を集めたドキュメンタリー映画が作られたんですね。
それが「ゴーイング・クリア」というタイトルで、これはハバードの発明したダイアネティックス、[人が積極的な行動が取れないのは、本人も忘れている過去のトラウマが心や体にロックをかけているから。それをクルアにすると仕事や勉強が出来るようになるよ。]といったサイエントロジーの教義からきているんですね。

 じゃあどうやって自分も覚えていない過去のトラウマをクルアにするのか?と言えば、教団のカウンセリング「オーディット」を受けるんですよ。昔[ラブテスター]という手にかいた汗を電流によって測るオモチャ有りましたよね?
似た感じで「eメーター」(嘘発見器)としてこれを信者に使用したんですよ。そして針の揺れを見ながら過去について信者にカウンセラーが質問してゆくんです。つまりこのeメーターで信者に荒いざらい自分のことを喋らせる訳です。

これによって信者は過去を思い出す。思い出すことによってクルアにして、トラウマを克服するという手法なんです。
このやり方が当たり、宗教化して発展していったんですね。というよりハバードは(最初から)宗教化させて大儲けしたかったんですよ。
そして教団が大きくなるにつれ、教義の(段階分けをし)最高教義などを秘密とするようになったんです……。

 この映画「ゴーイング・クリア」の信者の一人は、1970年から30年以上サイエントロジーに居た、あのアカデミー賞に輝いた「ミリオンダラー・ベイビー」の監督ポール・ハギスがいたんですね。実は彼は、3600万円支払わないと教えてもらえない最高教義を教えて貰える格まで上り詰めたんですよ。

 そしていよいよその日、
ポールはアタッシュケースを貰い
「あなたはとうとうこの最高教義を知る事が出来ましたね。」と言われたんですね。
ポールがアタッシュケースを開けると、
教祖ハバードからの手書きのメモが入っていたんですよ。それによると人類全部に書いてあるトラウマの正体が書いてあったんです。

それは…なんと7500万年前に宇宙を支配する宇宙の*悪の帝王「ジヌーXemu」*というのがいたと始まって、それが宇宙中から自分に逆らう人々を集めて地球に捨て、その捨てられた人達の魂が地球にいた原始人の体に入っていったんだと…。つまりそれが現在の我々子孫なんだよというんです。
そしてジヌーによって殺された魂は、ジヌーによって洗脳もされていて、その洗脳を解くことがサイエントロジーの目的なのだ!
とそのハバードのメモには書いてあったらしいんです。

 もちろん、それを読んだポール・ハギスはビックリして「なんだこれは〜!!」となったんですけど…「冗談か?」とも思ったんだけど、とりあえず信じたらしいんですね。
それまで30年間散々費やした莫大な時間と、大量の寄付がムダになるからととりあえず信じたらしいんです。


……映画「ゴーイング・クリア」では、ポール・ハギスの他にもたくさん告発者がいて、今まで秘密だった教団内部が次々暴露されているわけですよ……。


 *悪の帝王「ジヌー」

(町山氏も話していますが、表向き、サイエントロジーはこのジヌーの物語を否定しています。なにせ上級者のみに与えられる極秘の教義ですからね。そもそも、教団では上級に至るまで信者歴10年以上はかかるとされているものらしいです。それ故なのか、サイエントロジーによれば「その教義はあまりにも危険で、信者は指定された時期よりも前にこの資料を学ぶと死ぬ可能性がある。」と言っていて、また教義を学んだ後でも、「もし、この上級レベルOT Ⅲの秘密の教義や資料を解析したり、世間に知らせようとしたなら、肺炎、その他で死ぬことになる。」と警告をしています。
やたら信者に「死ぬぞ」と脅す教団です。こんな事を言う教団は聞いたことがありません。
とにかくモルモン教に並ぶ面白さです。しかし教団側としての守秘理由は、物語に対する著作権や企業秘密に基づいた訴訟が関係しているから必要になるらしいのです。しかし残念なことに、教団の必死の努力にもかかわらず既に多くのジヌーに関する情報、法廷の文書やハバードのノートのコピーなと、インターネットを通じて世間に広く知れ渡ってしまっています。アニメパロディやその他多くまで作られ、からかわれているようです。)



 また町山氏は、トム・クルーズの担当者をしていて脱会した教団のNO.2だった元幹部、マーティン・ラスバンの証言を挙げて、トムが2度目の結婚相手にニコール・キッドマンを選んだことについて教団側は非常に困ったという話をしています。
それはニコールの父親が精神科医だったからで、実は※※サイエントロジーは教団の思考として精神科医を批判する立場をずっととってきているからだというのです。
(※※以下に説明)
それで、教団としては何とかニコールと別れさせようとしてトムを何度も説得し、結果、マーティンの努力によってめでたくトムはニコールと離婚したことになっていると。そこまでトムはこの宗教にハマってしまっているんだと話しています。



 町山氏は、ニコール・キッドマンの父親が精神科医だったからというサイエントロジー側の発表理由を述べていますが、実際は違うと思います。
ニコールの父親はCIAのトップに居た人物で、サイエントロジーの創始者ハバードなんかよりも遥かに上にいる地位や立場なわけだから
(この時に既にトップだったミスキャビッジも同じでニコールの父親には逆らえない)、
トムとニコールの結婚も、また離婚もサイエントロジーが指図できる立場にないという事なんです。ですから別の思惑があったのだろうと思います。


 町山氏の話の中で「ゴーイング・クリア」に対する、教団側の反論も当然あって「証言のみで証拠がない!」として、逆に脱退した幹部達のトラウマや問題性を世間に暴露しているといいます。

これは脱会した元幹部達も、過去サイエントロジーの「オーディット」によって自分自身の細部まで教団に知られてしまっている弱みがあり、その個人情報の資料を教団側に握られているわけです。つまり、「そちらは腹立ちまぎれの作り話をして教団を非難しているが、教団側にはちゃんとした証拠があるんだぞ」という反論です。
例えば脱会した元幹部のマーク・ラスワンは、信者に暴力を振るっていたし、教団のお金も使いこんでクルーズ船で遊んでいたとか…。
その他に、やはり元幹部のマーク・フィッシャーは、タイで少女売春をしまくっていたとかを暴露しています。

 町山氏も言っている通り、このサイエントロジーの幹部達は、告発する側もされる側も共に最低な人間だということです。

 そして、「ゴーイング・クリア」の監督のアレックス・ギブミーによると、「教団は現在15億ドル(日本円で1500億円以上)も収入を得ているんだ。サイエントロジーは、その収入で世界各国に不動産を持ち、それを運用することに使っている。つまりサイエントロジーは、宗教によってビル経営など不動産事業をやっているということをこの映画で伝えたかった。」
と語っています。
町山氏によると、ハリウッドは、80〜90年代はタダ同然まで地価が下落していたらしいです。ところが、その時にサイエントロジーが目をつけて、ハリウッドの土地を買いまくったらしいのです。
そして、その後にアメリカが不動産バブルになり、ハリウッドも再開発されたことにより、サイエントロジーは莫大な資産を有するようになったのだといいます。

結果、ハリウッド周辺はほとんどサイエントロジーの所有する土地で、この時の町山氏の話ではサイエントロジーの本部もハリウッドにあるといいます。
なぜここに本部を置いたのでしょうか?

ハリウッド映画の目的は以前何度か説明した通りです。
これらの出来事は単なる偶然だと思われるでしょうか?

これはサイエントロジーではない、L・ロン・ハバードの遥かに上にいる組織の意図、指図がやはりあったとしか思えません。

なぜなら、彼等のやり方や計画は常々秘密裏であり、確実を期すために長いスパンをかけて実行に移しているからです。

おそらくハリウッドの地価を下げさせ、サイエントロジーに買わせたのでしょうね。
世界の地価の上げ下げとか、そんなことは彼等の組織には簡単な事です。
そしてつけ加えるなら、ハリウッド映画スター達はその秘密の組織に絶対に服従しなければなりません。その中でもトップクラスの俳優陣であれば尚のことです。
トム・クルーズはハリウッドの俳優の中でも特別な待遇と成功を収めています。
また、ジョン・トラボルタも同じです。
トムやジョンが何も知らないでサイエントロジーの広告塔をしている?まずあり得ないでしょう。




▶ トム・クルーズはフランス、ドイツでは
  拒否される人物


 ※サイエントロジーは、実は世界中で嫌われています。フランスではカルト、ドイツでもカルト、ビジネスとして見られています。※


 トムは、1990年に最初の妻ミミ・ロジャースを通じてサイエントロジーと関わるようになりました。以来、トム自身の持病であるディスレクシア(学習障害)がサイエントロジーによって良くなったと発言し、サイエントロジーが完全に宗教として認知されるための活動をしてきたようです。
トムは自他共に認める教団の広告塔であり、また彼は実の妹で信者の、リー・アン・ディヴェッテにも広報係を務めさせています。

 過去のエピソードで、トムはハバードの著作に基づくデトックスセラピーをアメリカ同時多発テロの救助隊に提供する為に「ダウンタウン・メディカル」という名の施設に出資して寄付金を募りました。
このことは医療の専門家や消防士達からも非難を受けています。しかし、2004年末に教団の現トップ、デイヴィッド・ミスキャビッジからは、サイエントロジーの「勇敢の自由勲章」を与えられています。 

 またトムは、サイエントロジーの為に各国の政治家達にロビー活動も行っています。
2005年、パリの名誉市民候補に挙がったこともあったのですが、パリ市議会はトムがサイエントロジーのメンバーであることを理由に名誉市民の称号は相応しくないとの決議を採択しました。

 また、2006年には、パラマウント映画がサイエントロジーの擁護をするトムに対して14年間に及ぶ契約の打ち切りを発表しています。

 また2007年には、映画「ワルキューレ」の製作の際に、ドイツで反ナチ運動の英雄として称えられており敬虔なカトリック信者として知られる、クラウス・フォン・シュタウンベルクをトムが演じることに対する強い反発が起きました。クラウスの息子ベルトルトもトムを拒否し、批判しました。
一時は、ドイツ国防省が事件の舞台であるシュタウフェンベルク街などの国防軍関連施設での撮影を許可しませんでした。

トム・クルーズはこの他にも、サイエントロジーに関わることで様々な物議をかもすエピソードを持っています。



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 ▶サイエントロジー教会と精神医学


 サイエントロジーは1952年の創立以来、
 精神医学と対立してきました。
 
 ハバードは、フロイトの理論にも、
生物学的精神医学にも批判的でした。
ハバードは精神科医を"psychs”蔑称と呼び、人間のスピリチュアリティを否定し、くだらない偽者の治療を行うものとみなしていました。
彼はまた、精神科医達をそれ自体が非常に非倫理的な人間であり「強奪、傷害、殺人を犯している。我々の資料はその証拠に満ちている」と確信していました。(この理由は悪の帝王ジヌーの物語も深く関係しているため。)

 このサイエントロジーの言い分に対して、当然数多くの精神科医達は教会に強く反論してきました。
ハバードの著書「ダイアネティックス」が出版された後、アメリカ精神学会は会員にハバードの手法を患者に用いないように指導しました。

 そしてやはり、この精神科医達や心理学学会が心配した通りのことが起きてきたのです。
それは、サイエントロジーの信者がとんでもない犯罪を起こしたり、精神疾患の患者が、サイエントロジーの教義を信じたがために死亡してしまったのです。


 ■事件の一例

〈リサ・マクファーソン〉
 サイエントロジー信者のリサは、教会との繋がりによって精神病院から脱走しました。
そして、信者達が治療する中死亡しています。彼女が死んだのは『イントロスペクション・ランダウン』という教団儀式の最中でした。

※※基本的にサイエントロジーの信者は、医師が信者に指示する可能性のある精神医学の治療を、全て否定することを教団側と約束させられているのです。

〈ジェレミー・パーキンズ〉
 2003年3月13日に、ジェレミーは母親である
エリィ・パーキンズを77回突き刺し殺害しました。ジェレミーは、統合失調症と診断され、暴力と幻覚にまつわる出来事があった後は治療を受けませんでした。母親はバッファローのサイエントロジー教会の熱心な信者で、多数のビタミン・サプリメントの摂取や、サイエントロジーの定めたものが、心理学的カウンセリングや向精神薬の服用より優れていると考えていました。

〈リンダ・ワリキ〉
 2007年7月5日、25歳のオーストラリア人女性リンダは、52歳の父親マイケルと15歳の妹キャサリンを殺害し、母親のスーにナイフで怪我を負わせました。リンダは精神疾患と診断されていましたが、彼女の親はサイエントロジーの教義に従って治療の継続を否定しました。
それまでの医療による向精神薬の服用ではなく、親はアメリカのサイエントロジー信者から特別に輸入したものに代えていたのです。


 この結果を見る通り、世界中の精神科医達は素人による精神治療は大変危険であり、ちゃんとした医療の技術を持った資格者に任せないといけないと今も警鐘を鳴らし続けています。


 確かに、精神医療には世界各国、賛否両論があるのですが(実際酷い精神科医は数多く存在している。)、サイエントロジーの治療はその道の専門家でなくても、素人目においても危険であると感じずにいられません。


 その上サイエントロジーの創始者L・ロン・ハバードがどんな人間かを調べたら、若い頃からいかに欲深く、虚栄心の塊で、嘘つきで卑劣な人間であったかということがよく分かるからです。


 ▶ L・ロン・ハバードの素顔


 ハバードの人物像についてのエピソードは実に数多く報告されています。
ハバードの最も身近に居たハバードの最初の妻マーガレット・ポリー・グラフとの間に設けた2人の内の一人、息子のドウルフは、6歳の時に父親がハンガーを使って母親に中絶手術を行っているのを目撃しており、インタビューで「サイエントロジーは金と知識を集める遊びだ」と述べて、父親は「金、セックス、大酒、ドラッグしか興味が無かった」と言っています。

**ハバードは1947年に精神医療を求めた事実があります。また彼の死後、検死官がハバードの死体から血液サンプルを取りドラッグ・テストを行った結果、微量のヒドロキシジン(精神安定剤)のビスタリルを注入され続けていた事実が判明しています。つまり教団で言っていることとは反対の行為を自らがしていたという事です。


 また特筆すべきエピソードは、ハバードが1945年8月にカリフォルニア工科大学の研究者で、イギリス諜報機関のオカルト研究家のジャック・パーソンズに出会っていることです。
パーソンズはあの、アリエスター・クロウリーの仲間だった人物です。
クロウリーによる記述によると、
{ハバードとパーソンズは1964年[魔術の実践]に忙しく、それは「ババロン・ワーキング」と呼ばれる女神または「ムーン・チャイルド」を召喚することを目的とした、拡張されたセックスの魔法儀式のまとまりを含んでいた。
ハバードは当時アメリカ海軍情報処理局の任務下で働いていて、その任務とはパーソンズの魔術と想定される行動を終え、パーソンズが使用していた少女(おそらくパーソンズのセックススレーブ)を救出するものだった?}
と言っています。
ハバードは後に、彼が言うところの「パーソンズから救出した少女」サラ・ノースラップと結婚しています。
クロウリーは自身のノートに
{ハバードはパーソンズの金と女を❲取込み詐欺❳で騙し取っていた。}と記録していました。
しかも、このサラとの結婚(1946年4月)は、まだハバードが最初の妻マーガレットと結婚している最中に第2婦人となり、この重婚のことをサラは当時知らなかったのだというのです。

ハバードは海軍を去ると、直ぐにマーガレットと2人の子供を捨て、重婚の後一年以上経ってから離婚しました。
サラもマーガレットも、ハバードが家庭内暴力を振るっていたと主張しています。
また、サラは2人の結婚の時と同時に、ハバードがまだ法的にマーガレットと法的に拘束されていたとして1951年4月に離婚を申し立てています。
サラは離婚届の中で、「ハバードが2人の娘であるアレクシスを誘拐し拷問した。」と避難しています。

 翌1952年、またもハバードは再婚します。
3番目の妻はメアリー・スー・ウィップで彼女とは最後まで添い遂げました。続く6年間にわたって4人の子供を設け、ダイアナ、クエンティン、スゼッテ、アーサーと名付けました。
1954年生まれのクエンティンは、いつかハバードのサイエントロジーの跡継ぎとして期待されていましたが、クエンティンは父親の計画には無関心で、パイロットになりたがっていました。そして彼は自分がゲイであることに罪悪感を抱き1976年に自殺してしまいます。

 またハバードの素顔を示す材料として、
1938年マーガレットに宛てた手紙の内容が知られています。「俺は全ての本が破壊されても伝説のような形を残すぐらい激しく、自分の名前を歴史にブチ込みたいっていう高貴な希望を持っているんだ。俺に関していえば、その目標はリアルなゴールなんだ。」と。
ハバードのやらしい虚栄心がよく表れた手紙です。

 また、1967年ハバードは教会の執行役員を辞し、自身をサイエントロジー信者が操作する
小型船隊の海軍准将に任命し、8年間を地中海で航海しました。
この間にハバードは、『海の組織』または「シー・オーグ」として知られる宗教的な秩序を
肩書や制服と共に形成しました。 
後にこの「シー・オーグ」は、サイエントロジー帝国の管理集団となりました。

 ハバードはこの「シー・オーグ」で、❲海軍准将の使者たち❳と呼ばれる10代の少女達に自分の世話をさせていました。彼女達は様々な仕事をハバードの為に行いました。それは単にシャワーを彼に向ける事、服を着せる事、タバコの灰を受け止める事などが含まれていたといます。

ハバードは不機嫌のために叫びまわり、罪を犯したと考えた者を船の汚いチェーン・ロッカーに数日〜数週間目隠しをして縛り上げて閉じ込め、船から海中へ放り投げるといった激しい罰を与えたといいます。これらの虐待のいくつかは大人同様に子供にも行われたのです。
まるでマフィアのドンの話を聞いているようです。


 また、1967年に妻メアリーに宛てた手紙には
「僕はたっぷりのラム酒を飲んで、目玉の飛び出るようなLSDとか色んな酒をやっているよ」とか、「……ハバード様の薬品供給を見て俺はこう言ったんだ。これは俺が見た中で一番大きな薬箱だ。ハバードは何でも持ってる!」とか、「……本当に愛してるよ。たとえ僕が昔アヘン中毒者だったとしても。」などもハバードが薬物中毒者であったことを裏付けています。

 この他に何百万ドルもの脱税を教会の会計で行い、資産を秘密裏に海外へ送っていたなど…、ハバードに関する情報でまともな話題はほとんどありません。あるとしたら彼が教団の中で創り上げたハバード自身のきらびやかな虚像だけです。


 1984年のイングランド・ウェールズの高等法院の家事部が下したサイエントロジーの裁判の判決で、「サイエントロジーは危険で、不道徳で、邪悪で腐敗しており、ハバード氏のための現金と権力を持っている。」と述べられています。
また、同年1984年の別の裁判においても、裁判官のポール・G・ブレッケンリッジ・Jrは、ハバードに対して「証拠が示すところによると、その男は、彼の経歴、背景、そうして業績のこととなると、ほとんど病的な嘘つきである。」と述べています。