◆ 錬金術の起源と思想

  錬金術師の祖と言われた
 ヘルメス・トリスメギストスについて…

 本当に実在していた人物かどうかは謎。


ルネサンス期の古代神学は、様々な異教思想を合わせた神秘思想となり、古代神学者の多くは古代魔術師でもあったといわれています。


 ヘルメス・トリトメギストスは、神秘思想と錬金術の文脈に登場する神人であり、伝説的な錬金術師でした。錬金術は「ヘルメスの術」とも呼ばれています。

ギリシャ神話のヘルメス神と、エジプト神話のトート神がヘレニズム時代に融合し、さらにそれらの威光を継ぐ人物としての錬金術師ヘルメスが同一視され、ヘルメス・トリスメギストスと称されるようになりました。
それら3つのヘルメスを合わせた者という意味で、「3倍偉大なヘルメス」「3重に偉大なヘルメス」と訳されています。
(しかし、この記述の起源については明らかではありません。)

1. 第一のヘルメス:
ノアの洪水以前にいた神。アダムの孫。衣服やピラミッドを作った。天文などを研究していた。
 
2. 第二のヘルメス:
ノアの洪水以後のバビロンにいた人物。ピタゴラスの師。医学、数学などに優れていた。

3. 第三のヘルメス:
エジプトの人。医学者、哲学者。都市計画をした。


 ヘルメス・トリスメギストスは、
「エメラルド版」や「ヘルメス文書」の著者とされています。また、中世の錬金術師は賢者の石を手にした唯一の人物と考えていました。

 また「ヘルメス思想」とは、ヘルメス・トリスメギストスにあやかって世界の神秘を味わい尽くそうとする思想のことを言います。
同時代に生きていた哲学者のソクラテスやプラトンやアリストテレス、そしてピタゴラス等は皆ヘルメス思想の信奉者でした。

 特にピタゴラスは、**ピタゴラス教団(神秘宗教)を造りプラトンと友人関係になり、数秘術や輪廻転生などの思想を教え、その後の哲学的影響を与えています。
(**ピタゴラスの神秘宗教については、以前のブログの「カバラと数秘術」で書いてあります。)

 
 ヘルメス・トリスメギストスがどの時代に存在していたかについては、モーゼの時代よりもはるか昔、エジプト王朝の最初期であったとされています。
権力者達は、トリスメギストスを**アブラハムと同一時代の人物と考えていたようです。


 **アブラハム
ユダヤ教・キリスト教・イスラム教を信仰する「啓典の民」の始祖。ノアの洪水後、神による人類救済の出発点として選ばれた最初の預言者。「信仰の父」。


 ヘルメス・トリスメギストスが「トリスメギストス」の名を持っている理由としては、
『※エメラルド・タブレット』の❲全世界の英知の三部門を知る❳というものを根拠にしているとされています。この3つの分野の知識とは、すなわち
  「錬金術」「占星術」「神動術」です。

 古代から現代までずっとこの3つの分野は消えることなくあらゆる形で続いているのです。


 この3つの中で「神動術」ギリシャ語で
 テウルギアを取り上げてみます。

 テウルギアは、神々の御業への祈願、もしくは神々の来臨の勧請という意図をもって行われる儀式の営みを指しています。
特に神的なるものとの合一(へノーシス)及び自己の完成を目指して行われます。
その儀式は実質的に魔術的なものとみなされています。

 古代後期の魔術には[テウルギア]と[ゴエーティア]という対象的な類型がありました。

 ・テウルギア
神官のような立派な人物が行う高尚な魔術。

 ・ゴエーティア
怪しげな山師的な人物が行う詐欺的な、又は卑俗な形態の魔術。


また、テウルギアの語義は逐語的には「神的な働き」とされ、いくつかの解釈があります。


 ゲオレク・ルックは、「神を動かす術」という意味と、「人を神的にする行い」という意味からいずれも〔*儀式や瞑想〕を通じて神との神秘的合一という同じ目標を目指すものであると指摘しました。


 5世紀の「新プラトン学派」のプロクロスは、テウルギアを大仰に定義し、「あらゆる人智に勝る力であり、天恵たる予言の才や秘儀伝授の浄めの力を含み、要するにあらゆる神憑りの業である。(プラトン神学)」としていました。

 20世紀のギリシャ哲学研究者E・R・ドッズはこれを引用し、「テウルギアは神の啓示などに依拠して宗教的な目的に用いれられた魔術である。その方法は概して低俗な魔術に類似しており、いわばその宗教的な応用であった。」と論じました。
ゲオルク・ルックはこれについて、「あらゆるテウルギア的業は*宗教的な面と魔術的な面は分かち難く結びつき、併せ持っている。」と指摘しています。

(*上記にある通り、古代から魔術においては、儀式と瞑想をしていたことと、魔術は宗教的であったということに注視してほしいと思います。)


 また、当時の宗教情勢を考慮した場合テウルギアには(特にユリアヌス帝が支持し、その治下で盛行した時には)キリスト教に対抗して、
「古来の神々の優越性を示そうとした企図があった」とも考えられます。
したがって実質的には古代ギリシャ・ローマは、多神教の一種の末期形態であったという見方もあります。


 カトリックの悪魔使いパラケルススも新プラトン主義者でした。この新プラトン主義を読むと更に頷ける箇所だらけです。


(※『エメラルド・タブレット』についてはまた下記で説明します。)



 〈 世界中の錬金術の歴史 〉

 錬金術の目的は、化学的な手段を用いて卑金属から貴金属(特に金)を精錬しようとしたのですが、金属に限らず様々な物質や、人間の肉体や魂をも対象としてそれらをより完全な存在に錬成する試みを指していました。

 古代ギリシャのアリストテレスらは、
万物は〘火・気・水・土〙の四大元素から構成されていると考えていました。
そこから卑金属を黄金に変成させようとする「錬金術」が生まれたとされています。

錬金術は、ヘレニズム文化の中心であった紀元前のエジプトのアレクサンドリアからイスラム世界に伝わり発展しました。
12世紀にはイスラム錬金術がラテン語訳されてヨーロッパで盛んに研究されるようになったのです。


 1828年にエジプトのテーベの古代墓地から発見されたギリシャ語で書かれたパピルスは、
3世紀頃に書かれたと見られ、それによれば、金や銀に別の金属を加えて増量する方法や、
染色法が記述されています。

 また、1144年にチェスターのロバートが、❲Morienusモリエヌス❳を「錬金術の構成の書」としてアラビア語からラテン語に翻訳したものが、西欧における最初のラテン語による錬金術書になりました。


 また、ゲオルク・アグリコラ(鉱山学の父)が「キミア」の語を広範に用いたことで、錬金術は秘教的な実践を指すようになり、薬剤や経験主義の長い伝統の化学と区別されるようになりました。

 その他インドの錬金術の歴史は、
紀元前1000年から紀元前500年頃にかけてインドで編纂されたヴェーダ(一連の宗教文書の総称)に端を発し、紀元前4世紀のカウティリアの実利論も錬金術に触れています。

「ラサラトナーカラ」というベンガルで発見された錬金術のタントラ(密教)の写本は、大乗仏教のタントラです。
これらと中国の三蔵の中に見いだせるものと比較すると、他の金属を金に変えるハータカという薬液や、石汁ともいわれる山水シャイローダカなどが共通しており、中国の錬金術との類似点となっています。
これらはインドのものが中国に、密教と共に伝わったのではないかとされているのです。

 インドの錬金術については、タントラ教やインド伝統医学にも影響を与えたとされています。
例えば水銀は、通常は液体であって人間の精神と同様に流動的であるのですが、固形化されると人間の精神集中をもたらすといっています。


 中国では『抱朴子』などによると、
金を作ることには、「仙丹の原料にする」、「仙丹を作り仙人となるまでの間の収入にあてる」という2つの目的があったとされています。
 
 辰砂(しんしゃ・硫化水銀からなる鉱物。)
別名賢者の石、赤色硫化水銀、丹砂、朱砂があります。
これらから治金術的に、不老不死の薬・
「仙丹」を創って服用し、仙人となることが主な目的となっています。
これは「煉丹術」と呼ばれています。
厳密には、化学的手法を用いて物質的に内服薬の丹を得ようとする外丹術です。

 このように錬金術は、エジプト、ギリシャから始まり時代を経て世界中へ広まっていきました。



 ◆『エメラルド・タブレット』の伝説 

   エメラルド・タブレット
(エメラルド板、エメラルド碑文、緑玉板)

 『エメラルド・タブレット』は、ヘルメス・トリスメギストスが書いたとされる「ヘルメス文書」の中で最もよく知られている短い文献であり、ヘルメス自らがエメラルドの板に刻み、12の錬金術の奥義が記されていると言われています。
(本当に宝石のエメラルドの板に書かれた物ならロマンチックなんですが、碑文の実物は現存していないといいます。)

 ただ伝説では、ヘルメスの墓地から発見された、またはヘルメス文書群よりも『エメラルド・タブレット』は後代の作品であるともいわれています。

 実際の『エメラルド・タブレット』のテクストは、(8世紀以後もしくは)10世紀頃のアラビア語文献の翻訳と考えられており、さらにその元になった古い4世紀頃のギリシャ語原典の存在も想定されていますが、ギリシャ語で記された原テクストに相当するようなものも現存していません。

 また、12世紀にアラビア語からラテン語に翻訳されて中世ヨーロッパにもたらされたとされ、最初期のラテン語訳にはサンタリャのウゴによるものがあるといいます。

17世紀のイエスズ会士アタナシウス・キルヒャーによる訳も広く知られています。
 
 更にパラケルススにおいては、シュポンハイムの僧院長ヨハネス・トリテミウスより『エメラルド・タブレット』を自分の父親ヴィルヘルムに贈られ、それを見て自分は育ったのだと言っていました。
 (おそらくパラケルススの嘘ですね。)

 
 また驚くことに、
『エメラルド・タブレット』の記述は、あの、アイザック・ニュートンが訳していたことでも有名であったのです。


  ○ アイザック・ニュートンは
    魔術師で錬金術師だった! 

 アイザック・ニュートン(1642_1727)は、
イングランドの自然哲学者、数学者、物理学者、天文学者、神学者で、主な業績は
〔ニュートン力学〕の確立や〔微分積分〕の発見で名高い人物です。
ところが実は彼については、これまでの歴史書など恣意的に「自然科学者」として抽出されていて、(ホイッグ史観による)他の活動は無視や隠蔽をされてきたことが近年分かってきました。

その証拠にニュートンは、
実はオカルト研究に分類される著作も多く残しており、年代学、錬金術、聖書解釈(特にヨハネの黙示録)についても熱心な研究者だったことが分かっているのです。

 現代人が知る科学的研究の成果よりも、
ニュートンはむしろ、古代の神秘的な英知の再発見の方を重視していたのです。

 1942年にニュートンの錬金術研究書を
購入し、検討した経済学者のケインズは、
「ニュートンは理性の時代 ago  of  reason の
最初の人ではなく、最後の魔術師だ」と発言しています。 

 ニュートンのオカルト研究の大部分は、錬金術であり、錬金術に関する業績や著書の多くは、現在知られているものより大きなものだったと言われていますが、残念なことに研究所の火災により消失してしまったようです。

 またニュートンに関する他のエピソードとしては、彼は錬金術を研究している間、神経衰弱に罹っていたと考える人もいますが、実際は化学物質(水銀や鉛など)による中毒症状だったようです。


 ニュートンの著書によれば、錬金術の主要な目的は、まず賢者の石の発見であり、その次にエリクシルの発見でした。

 また、ニュートンは1704年に書いた草稿で、聖書から科学的情報を汲み取ろうとしており、ここでニュートンは、(黙示録から?)「2060年までは世界は滅びないだろう」と予測を立てていたようです。

 彼は自分自身を、聖書の記述を解釈する使命のために神に選ばれた人間の一人だと考えていました。そのためニュートンは、【バイブル・コード(聖書に隠されている暗号)】の調査と解釈に生涯の多くを捧げました。

またニュートンは、この自身の予言に関して「この指摘は、終末がいつ来るか断言するものではない。 空想家による性急な当て推量と、それが外れることによって神聖な予言に疑惑が湧くことを防ぐためのものである。」
と語っています。


 この「2060年までは世界は滅びない」というニュートンの予測を、なぜか2003年に各国多くのマスメディアがそれぞれが特集を組み、ニュースとして世間に広く公表しました。

 イギリスのデイリー・テレグラフ紙、カナダのナショナル・ポスト、イスラエルのマーリヴ紙、イェデイオト・アハロノト紙など大新聞の一面に飾り、ネイチャー誌などの科学雑誌でも特集をやり、テレビやインターネットでは更に大きく取り上げました。

(なぜ2003年に世界中に公表したのでしょうか? 2000年のミレニアムの前のノストラダムスの大予言ブームから、アイザック・ニュートンの大予言説?イルミはわざと終末をくり返し大衆に感じさせようとしています。)


 『エメラルド・タブレット』の原文は、寓意や隠喩が多く多用な解釈が可能で、卑金属を金や宝石に変えるように、人間の魂を大地から天へと昇華させていく修道過程、賢者の石の秘密を読み解くことが出来るともされています。

 フリーメイソンなどの秘密結社への影響も大きく、万物が一者から生まれたという一元論・新プラトン主義や、ヘルメス思想の原典とみなされるようになりました。

 これに記されたもので最も有名な言葉は、
錬金術の基本原理である
【下なるものは上なるもののごとく、上なるものは下なるもののごとし】です。これはマクロコスモスとミクロコスモス(大宇宙と小宇宙)の相似ないし照応について述べたものと考えられています。


 下記に『エメラルド・タブレット』のアイザック・ニュートンによる英訳、錬金術文書より紹介します。
(現在、ケンブリッジ大学キングズ・カレッジ図書館に所蔵)


 これは真実にして嘘偽りなく、
 確実にして最も真正である。
下にあるものは上にあるもののごとく、
上にあるものは下にあるもののごとくであり、それは唯一のものの奇蹟を果たすためである。
万象は一者の観照によって一者に由って起こり来たれるのであるから、万象は一つのものから適応によって生じたのである。

 太陽はその父、月はその母、
 風はそれを胎内に運び入れ、 
 地はその乳母である。
全世界におけるあらゆる宗教の父はここにある。それが地に転じるならば、その力は円満となる。
地を火から、微細なものを粗大なものから、
非常なる勤勉さで丁寧に分離するがよい。
それは地から天に昇り、再び地へと降って、
上位のものと、下位のものの力を受け取る。
この方法によって一切の無明はそなたから去るであろう。
その力はすべての力に凌ぐ。それはあらゆる精妙なものにも勝り、あらゆる堅固なものを○つからである。
かくて世界は創造された。
これに由って来るべきところの驚くべき適応、その方法(もしくは過程)はここにある通りである。故に私は全世界の哲学の三部を具するを持ってヘルメス・トリスメギストスと称される。
太陽の作業について私の語ったことは完遂し○る。




▶ここで錬金術に使われる水銀について少し調べてみました。
 
 ⚪水銀の毒性

水銀は中枢神経・内分泌器・腎臓などの器官に障害をもたらし、口腔・歯茎・歯にも損傷を与える。高濃度の、もしくは低濃度であっても長時間水銀の蒸気にさらされると脳に障害を受付、最終的には死に至る。水銀及び化合物は、特に胎児や幼児に対して有毒である。

水銀を含む保存料であるチメロサールは、1930年代から変質を防ぐ目的でワクチンにごく少量が添加されていた。これに伴う悪影響は、アレルギー症状を除いてこれまでのところはなんら示されていない。しかし、今日では数種のインフルエンザワクチンを除き(一部は使われている)、アメリカ合衆国で使われている12種類の感染症用小児用ワクチンにチメロサールは使われていない。

液体の金属水銀は弱い毒性を持つに留まるが、水銀蒸気や塩、有機水銀化合物の毒性は高く、摂取・吸収・摂食すると脳や肝臓に障害を与えるとされている。

・上記にも書いた中国の「煉丹術」など、昔水銀は永遠の命や美容に効果があると盲信されていた為、秦の始皇帝などは永遠の命を求め、水銀入りの薬や食べ物を喜んで摂取していたといいます。
しかし、当たり前ですが、後にその毒性により亡くなりました。
この時代、他にも多数の権力者が水銀中毒で死亡したと伝えられています。



《 実は現在でもあるエリクサーの商品 》

 日本薬局方の製剤総則には「エリキシル剤」の定義があり、「通例、甘味及び芳香のあるエタノールを含む透明な液体洗剤の内用薬である」としています。

 日本の化粧品、資生堂「エリクシールELIXIL」を覗くとブランド名の由来についてフランス語で『霊感』『粋』『○』『エッセンス』を意味し、科学と○感のエッセンス(粋)を集めることによって、美しい年代をいつまでも保つという意味が込められています。


 外国では、リキュールで「エリクサー」の名を冠するものがあります。

・ベネディグティン(Benedictine)
フランス産のブランデーをベースとするリキュールのブランドで、『長寿の秘薬』として誕生しましたが、現在では主に製菓用に使用されています。
1510年にフランス・ノルマンディーにあったカトリック教会最古の修道会、ベネディクト派の修道院で作られたのが起源となっています。
フランス革命時にレシピは失われましたが、1863年に復元されています。レシピが現存するものとしては世界最古のリキュールです。

蒸溜酒にジュニパー・ベリーやハッカを始め、多数の香草や薬草に漬け込み製造されます。
アルコール度数は40度。
アイスクリームにかけたり、洋菓子の風味付けに使用されます。


・シャルトリューズ(Chartreuse)
カトリック教会に属する修道会カルトジオ会に伝えられた薬草系のリキュールの銘柄で、
“リキュールの女王”とも称されています。こちらもフランスを代表するリキュールの一つです。基本的にはストレートで飲まれていますが、カクテルの材料として用いれられることもあります。
商品のデザインラベルが、カトリック・カルトジオ会のシンボルマークそのままを使用しています。(十字架と7つの星★柄です。)
作られた当時は薬用とされ、販売はされなかったのですが、やがて修道士が小規模に売り歩くようになりました。
詳細な製造法は明らかにされておらず、1985年においても修道院の修道士3名が知る秘伝です。

ブランデーをベースに、砂糖およびアンゼリカ、シナモン、ナツメグを始めとする130種類のハーブを加え、樽で熟成されます。5回の浸漬と4回の蒸溜を経て調整されるということだけが公開されています。40人程の修道士による上工程により生産された成分を、秘伝を知る2〜3人の修道士が混ぜるのです。
熟成には最低でも3年かかり、VEPは12年だそうです。

[種類]
・ヴェール(緑)アルコール55度
 スパイシーでハーブの香り豊か。
・ジョーヌ(黃)アルコール40度
 蜂蜜の甘味が強くまろやかな味わい。
・ヴェールVEP54度、ジョーヌVEP42度
 大樽で12年以上の熟成をした高級品。

・エリクシル・ヴェジェタル
 (植物の霊薬の意) 71度
 原初の製法に近い処方で作られるもので、甘味はかなり弱くハーブ香が強い。
・ナインス・センティネアー 47度
 1084年のシャルトリューズ修道院創設から 
900周年を記念して1984年にリリースされた物
他……


・トカイワイン・エッセンシア 5度
 Tokaji  Eszencia(貴腐ワイン)
ハンガリーのトカイと周辺の地方からなるトカイ・ワイン地区で作られるワインです。
トカイ地域で発生する霧による湿気によって、貴腐菌というカビに侵された白ぶどうが作り出され、貴腐菌は水分を外に出し、糖分を濃縮させて甘いぶどうになる仕組みです。

改革派教会の説教師であるラーコーツィ家
(ハンガリー貴族)で作られたワイン。
昔は薬として飲まれていました。
ワインの種類は多数あります。

また、PCゲームのファイルファンタジーでの
エリクサーのモデルとされたワイン。


・ダフィーのエリクサー
元は胃薬として作られましたが、万能薬とされ18世紀のイギリスで評判となり、19世紀までアメリカで一般的な治療薬とされました。

etc……






 ……よく童話や物語、伝説などにおいて、魔女が薬草を集めたり、様々な物を混ぜ併せて呪文を唱え、怪しげな魔法の薬を作り出す話があります。
でもそれが物語のフィクションではなく、実際に魔女のところに〔まじない〕や薬を求めて買いに行っていた習慣がヨーロッパでは結構あるのです。
魔女が医者の役割をしていた地域もあります。

 上記のリキュールやブランデーように、カトリック教会が昔々からそうしたことを手掛けていた、始めは薬として、後にお酒として販売するようになっていったというのが実に不気味です。なぜなら彼等の薬製造の発端が、錬金術や賢者の石から始まっているのだから…。
材料や製法を秘密にしているのも、ただ単に模倣されない為だと言われたとしても全く信用出来ないところです。

 例えば、カトリック教会がそのエリクサーの薬やリキュール、ブランデーに素直に錬金術の成分を混ぜていると考えるならば、毒物を飲むことになるからです。
それに薬草やハーブ類も、全てを公表しているとは考えにくく、どんな効能が秘められているかもしれないのです。


 そういえばあの、ロスチャイルド家も数多くのワインを生産して販売しています。
近くのスーパーでも結構置いてあります。
お手頃な価格なので知らずに手に取りやすいかもしれません。