ヘレナ・ペトロヴナ・ブラバッキーの後、オカルト界でこのアレイスター・クロウリーの名前を挙げないわけにはいきません。
彼は、1875年10月12日にイングランドのウォリックシャー州レミントン・スパーにてビール酒造業者の家に生まれエドワード・アレグサンダー・クロウリーと名付けられました。彼の家はイングランド国教会から分離したカルヴァン主義の一派の信徒でした。
1885年、エクスクルーシブ・ブレザレンの寄宿学校に入学するも、厳格なキリスト教教育に反発して退学し、オカルトに志向するようになります。1898年ケンブリッジ大学卒業間際に、あの「黄金の夜明け団」に入団します。当時、この団体には英国のエリート達が所属し、中には文学界のイエイツや、ストーカーがいました。「黄金の夜明け団」では幅広い分野で魔術を実践していました。
 
 ここから彼の人生は大きく変わっていくことになります。

⚪「黄金の夜明け団」の説明
  (ウイキペディアより)

 「黄金の夜明け団」「黄金の暁会」ゴールデン・ドーンと訳された隠祕学結社は1888年3月1日にウィリアム・ウィン・ウェストスコット、マクレガー・マザーズ、ウィリアム・ロバート・ウッドマンの3人によって発足しました。その教義はカバラを中心に、当時ヨーロッパでブームを起こしていた神智学の東洋哲学や薔薇十字団伝説、錬金術、エジプト神話、タロット、占い、グリモワールなどを習合させたものでした。教義の習合ごとに、生命の樹❨カバラ創世論の図❩になぞらえた位階を設定していました。昇格試験を経て上位の位階に進むというシステムを採用し、一種の「魔法学校」の様相を呈していました。後に英語圏で設立された多くの秘密団体がこのシステムに範を取っていました。人間の階級はカバラ図に充てて、最低が〈ニオファイト〉で、最高が〈アデプタス・マイナー〉であるとしていましたが、後期には指導者が勝手にそれらより上の階級である〈アデプタス・メジャー〉などを名乗り始めました。

 上記のような団体の教義をクロウリーは学びます。しかし1900年6月に団の内紛に紛れる形で脱退し、世界遍歴の旅に出かけました。この間に日本や上海、スリランカなどを訪れ、ヨーガを学ぶのです。1902年にヒマラヤ山脈のK2登頂に挑戦。1904年に新婚旅行に訪れたエジプトで、❴アイワス❵と名乗る霊的存在に接触し、その声の幻聴を書き留めました。これを基に、『法の書』を書き上げたと言われます。
1905年、カンチェンジュンガ登頂に挑戦。1907年、ジョージ・セシル・ジョーンズと共同で秘密結社「銀の星A∴A∴」を創設するのです。季刊誌「春秋分点」を編集し、同誌にて多くの詩や魔術文書を発表します。
1912年、テオドール・ロイスに「東方聖堂騎士団O.T.O」の性魔術の奥義を公表したと詰め寄られますが、それはクロウリーが偶然発見したもので、クロウリーが書いた「嘘の書」の中の或る章を見てその奥義の核心を理解したといいます。この後、クロウリーはこの団体と組みます。クロウリーは1904年の『法の書』受信に端を発した「セレマの法」を中心的な宗教原理とする団体として指導し、再編させました。「セレマの法」は、❴汝の意思するところを行え、それが法のすべてとなろう❵と、❴愛は法なり、意思の下の愛こそが❵のニ文に集約されます。(規則や法に基づいた人生の哲学)1910年にO.T.Oの3位階を授与され、その2年後、グレート・ブリテン及びアイルランドの責任者に就任し、X゜位階に昇進するのです。また、イギリス支部である「ミステリア・ミスティカ・マキシマM∴M∴M∴」を開設し、クロウリーが責任者となりました。その後も彼は団体の中で出世をし、ベルリンに赴き教義文書を受け取り、グノーシス聖域にある『アイルランド、アイオナ、全ブリテンの至高聖王』という称号を授かったのです。

 ここまでで、10歳からオカルト志向になり大学で隠祕学結社「黄金の夜明け団」に入団し、魔術を本格的に学びます。完全な神秘主義になったクロウリーは1900年6月25歳〜(結社退会後)、よりリアルな魔術儀式を追い求めたようです。1904年29歳で結婚し、妻のローズと共に新婚旅行で訪れたエジプトの地で2人は、古代エジプトの神との交信を試みるのです。さすが、サタニストらしく普通の新婚旅行ではありません。旅行先もエジプトを選び、しかもいきなり現地で悪魔儀式です。おそらく、2人には儀式が目的の旅行でもあったのかもしれません。2人の願い通りに、ついに【アイワス】と名乗る悪霊の幻聴を聞くことに成功します。その幻聴によって書いたのが『法の書』で、この本はクロウリーの教義[セレマ]のバイブルとなりました。
そして、彼は自らの団体[銀の星]を1907年に設立して季刊誌を発行します。「銀の星」はセレマ的魔術結社でした。

(※[セレマ]について。セレマの語源はギリシャ語のコイネーで名詞のテレーマ{意思・意思する・望む・目的とする}のラテン文字転写で、初期のキリスト教の書物では、{神の意思、人間の意思、そして神の敵である悪魔の意思}としても使われてます。クロウリーは、これらの意味に、自分の宗教的な概念、哲学・東西の神秘主義(カバラ)・オカルト・ヨガなどを含めていました。)

彼の団体の目的は、"光と知識の探求"で、モットーは「科学の方法と宗教の目的」だったようです。ここでまた少し話が戻りますが、先の『法の書』が書かれた後か前かは分かりませんが、彼はその前後で6ヶ月間に渡ってある事実を立証するために、悪魔をマスターするという儀式を行っています。これは大変危険な儀式だったといいます。しかし、クロウリーは6ヶ月を待たずに停止しました。何があったかは分かりません。とにかく世間では「この儀式で彼は悪魔に乗り移られたのだろう」と噂されました。
私の見解は、「黄金の夜明け団」辺りから悪魔には選ばれていたと思っています。
それと、彼のしてきた事はヘレナ・ペトロヴナ・ブラバッキーの活動に似ています。多分、クロウリーはブラバッキーに倣っていたのだと思います。(ブラバッキーの前回の説明をご覧下さい。)そして、悪魔に見込まれたクロウリーはもっと大きな団体O.T.Oに会うのです。そしてその団体で出世させていきました。
O.T.Oもブラバッキーの神智学と関連があります。(下記に説明文を読んで下さい。)ずっとブログを読んで下さった方は頷くと思うのですが、これは「類は類を呼ぶ」の法則の通り、古代からこのパターンの繰り返しです。まぁ、この世は霊界の悪魔の指図で成り立っている世界ですからもはや自然ですね。


⚪「東方聖堂騎士団」の説明
  
    Ordo Templ Orientis   通称O.T.Oの起源
初期の歴史を確実に辿るのは困難ですが、1895年〜1906年の間にドイツかオースリアで創始、もしくは企図されました。公式的にはオーストリアの有力な化学者であり実業家であったカール・ケルナーが創始したことになっています。そこに1895年にテオドール・ロイスと出会い、ケルナーと共同でO.T.Oを創設し、ケルナーの死後ロイスがトップになりました。これに先立つ1902年、ロイスは神智学者フランツ・ハルトマンとハインリヒ・クラインと連名でジョン・ヤーカーからフリー・メイソンの「メンフィス&ミツライム古代原初儀礼」のドイツ・ロッジを運営する権利を購入しました。「メンフィス〜の儀礼」は非正規のメイソンリー儀礼だとされているのですが、古式公認スコティッシュ儀礼、スウェーデンボルグ儀礼と共にこれらは新たに結成された団の中核となりました。ベルリン時代のグランド・マスター、ルドルフ・シュタイナーはロイスと接触して1906年にメンフィス・ミツライムのMisteria   Aeternaのグランド・マスターとなりました。(中略)

 ❲多くの秘密結社と同様に、会員制は演劇的儀式を用いた一連の位階儀礼による秘密参入体系に基づいており、団体の結束を深め、精神的及び哲学的な教えを伝授することを目的としています。O.T.Oには団の教会部門であるグノーシス・カトリック教会も含まれています。その中心的な儀式はLiber  XV『15の書』またはグノーシス・ミサと呼ばれ、一般にも公開されています。❳

 クロウリーのその後
1920年、シチリアのチェファルにてテレマ僧院を開設します。ここで麻薬や性行為を応用した儀式を行っていましたが、一人の男性信者がジステンパーにかかった猫の血を飲み感染し、死亡した為に国外退去を命じられます。以後転々とするのです。それでも彼は1925年、O.T.Oのクロウリー自身が決めた「団の外なる首領」O.H.Oにグランドマスター達の協議の後に選出就任しました。彼の最期は1947年1月21日にイギリスの片田舎で72歳でした。

とあります。彼のやっていることは悪魔教の悪魔崇拝ですから、テレマ僧院でも魔術や麻薬や性行為の儀式ばかりをしていたようです。そして、病気の猫の血を信者に飲ませた結果、死なせてしまい国外退去になりました。この事件で彼に罪悪感があったなんて私は思いません。
当たり前ですが、悪魔崇拝者達は殺人さえ、悪魔崇拝の行為なのです。

 彼の魔術本の『法の書』や彼の著書、またはその思想はその後のオカルト界やニューエイジ世界に多大な影響を与えています。
つまり、ブラバッキーと共にクロウリーは悪魔崇拝を世界中に広める仕事をしたということです。
 世の中には、何も知らないでブラバッキーやクロウリーを有名な魔術師として崇め、神格化し、占星術や魔術を行っている人達が数多くいます。その世界では彼等はヒロイン、ヒーローだからです。彼等の歴史やその本当の人物像を、そういったニューエイジ、スピリチュアルや占いの世界では隠しています。悪魔崇拝者だとは決して教えません。その逆を教えているのです。また、本当の魔術の意味も変えています。彼等の名前も変えて教えを広めていたりもしています。既に様々な団体にその教えや魔術が入り込んでいますから外側からは分からないでしょう。
 例えば、ニューエイジ、スピリチュアルの人々はヨーガだけでなく、天使の名前やその役割などを詳しく話す人も多く、天使のチャネラーがいると本気で信じています。天使カード❨ルーン(魔法)文字カード・天使タロットも含む❩類を集めたり、数字にこだわったりします。全部、堕天使や悪霊の物です。チャネラーも本当の天使と会話していません。ただの霊媒師です。どんなに優しくても、良い事を言ってくれたとしてもそれは堕天使や悪霊の声なのです。
また、ニューエイジマスター達は誰であっても例にもれず、儀式が大好きですから様々なまじない(魔術)を伝えます。例えば、体調を良くする、地球からパワーをもらう、または癒やす、魂の向上、直感力、恋愛、金運、もしくは過去や未来を教えてくれると信じさせています。前世療法?嘘です。人間に輪廻転生はなく、故に前世などもありません。すべて良い事のように見せていますが間違いなのです。信じてはいけません。


ちなみに悪魔に尽くした
クロウリーは幸せな最期ではありませんでした。ヘロイン中毒者で惨めにも無一文だったといいます。