19世紀から20世紀にかけて、世界中の神秘学系団体に多大な影響を与えたとされるのが、「神智学協会」です。
その背景には、19世紀後半のアメリカ・ヨーロッパで既存の教会を批判する一種のリベラリズムとして出現しました。また、心霊主義〔スピリチュアリズム〕の流行もありました。神智学協会は仏教やヒンズー教などの東洋の宗教思想の西洋への普及に貢献し、一方、インドの人々には普遍主義的なヒンズー教改革運動の一種として受け入れられました。
神智学は思想面だけでなく、社会的・政治的面でも一定の役割を果たし、1920年頃までは広範な影響力を有していました。特に、中心人物であったロシア出身のヘレナ・ペトロヴナ・ブラバッキーの思想は近現代の主要な神秘主義者達に直接間接的に影響を与え、後のアメリカのニューエイジにおける様々な思考・信仰・大衆オカルティズムの起源とされました。神智学協会はいくつか分裂しており、その実態は掴みにくいのですが、21世紀にはインドに本部のある神智学協会は70カ国に支部をもち、会員3万3千人ほどとされています。
(日本にも支部があります。)

□ 創設由来・協会の目的と活動
 1875年、一握りの人々と共に❲オカルティズムやカバラ等の研究と解明の為に❳ニューヨークで創設されました。当時ブラバッキーが住んでいたアパートでは、オカルトに関心のある少数の人々と定期的に集会を開いており、1875年9月の会合でジョージ・ヘンリー・フェルトという人物がカバラやエジプトの秘技について講演を行い、そのフェルトの精霊に関する議論に刺激を受けたオルコットはこの種の研究をする会を組織することを思い立ち、ブラバッキーに提案しました。同年11月7日、神智学協会が発足するに至りました。当初は18名ほどで、会長にオルコット、副会長に解剖学教授セス・バンコーストとフェルト、通信記者にブラバッキーが就任しました。また、草創期の主な会員には、元霊媒師のエマ・ハーディング・ブリテン、著名なフリーメイソンのチャールズ・サザラン、ニューヨークの心霊協会会長のヘンリー・ニュートン、ニューヨークに来ていたロンドンの弁護士チャールズ・マシィがいました。
神智学は、宇宙を支配している法則についての知識を収集し、普及させること(霊的な世界を研究し、神と交信し一体となろうとするもの)でした。
 会長はオルコットでしたが、実権はブラバッキーが握っていました。彼女はロシアの名家に生まれ、若くして故郷を離れ世界中を旅しながら超常能力を開花させていったといいます。 


 ブラバッキーはその著書、代表作は宇宙や進化や超古代文明についてまとめた1877年「ベールを剥がされたイシス」として出版しています。
1878年に、英人チャールズ・マシィが帰国して英国神智学協会が設立されます。オルコットは、ヒンズー教改革団体アーリヤ・サマージとの定型を決め、12月にはオルコット、ブラバッキーら数名もインドに向かいます。1879年、ボンベイ(現ムンバイ)を拠点にインドでの活動を開始し、雑誌『神智学徒』を創刊します。1880年、ブラバッキーがインドの有力な英字紙の編集者であったアルフレッド・パーシー・シネットの夏の別荘に滞在中、シネットの求めに応じて大師クートフーミから返信の手紙が届き、以後数年間に及ぶマハトマたちとの文通が開始されます。
1882年、マドラス(現チェンマイ)南部のアディヤールに神智学協会本部が設立されました。

ブラバッキーはしばしば、チベット山中に住むマハトマ大師との霊的な交信をしており、その大師の言葉を会員に伝えていました。そして、
1883年、協会本部に設けられた密閉されているはずの厨子の中にマハトマ書簡が頻繁に出現するという超常現象が起きるようになったのです。
アンナ・キングスフォードが英国神智学協会に加入し、ロンドン・ロッジの長となります。しかし、キリスト教神秘主義を志向したキングスフォードは帰国したシネット等のインド派と対立して、勝ったシネットが長に収まりました。1884年、ブラバッキーとオルコットは欧州に旅行に出掛けます。大勢の聴衆に迎えられ、多くの名士や知識人、新聞記者に囲まれました。これに伴いドイツでもゲルマン神智学協会が設立されます。キングスフォードは、自身が率いるヘルメス・ロッジを「ヘルメス協会」に改組して神智学協会から独立しました。
この頃アディヤール本部の家政を任されていた元使用人エマ・クーロンは、「マハトマ書簡やその他の様々な奇蹟は虚偽だった。」と暴露し、奇蹟を起こすように支持したブラバッキーの手紙を公開しました。❨クーロン事件❩ 
これを機にロンドンの心霊研究協会は会員のリチャード・ホジソンを現地に派遣し、同年末にブラバッキーがヨーロッパから帰還する前に調査が行われました。1885年、『マハトマ書簡』の筆跡はブラバッキーの筆跡と同じであった為、ホジソンは彼女を「巧妙な詐欺師」と断定し、発表されました。[ホジソン・レポート]
この事件により協会は打撃を受けます。ブラバッキーは混乱を避けてヨーロッパに舞い戻り、オルコットはインドに残りました。ホジソン・レポートの打撃を克服する為にブラバッキーは隠棲先のヴュルツブルクで原稿を書き始めます。1887年、先の不祥事による混乱が沈静化すると、ブラバッキーは、イギリスのロンドンに移り、小説家メイベル・コリンズの家に滞在します。ロンドン・ロッジとは別にブラバッキー・ロッジを開設し、機関紙『ルシファー』を創刊するのです。

 ここまでで、神智学協会の始まりからしてオルコットが知人のカバラやエジプトの秘技について、また精霊に関する講演を行った事に影響を受けていたところも、類は類を呼ぶその会員の職業も、見えない誘導的な何かを感じずにはいられません。初期よりフリーメイソンであったチャールズ・サザランやニューヨーク心霊学協会のニュートンや元霊媒師のエマ・ハーディングなどよくもまぁ、ここまでオカルティストが揃ったものです。
そしてその中心がブラバッキーであり、彼女が悪魔付きであり詐欺師であることがマハトマの書簡で暴露され、逃げた後に『ルシファー』なる名前の機関紙を創刊するなども彼女の人物像を含めて、神智学協会が悪魔崇拝の機関であることの動かない証拠なのです。そもそも、チベットとヒンズー教は悪魔崇拝の聖地であることを彼女が知らないはずはありませんから。また、神智学協会のマークは蛇の姿で太陽を表す円の形に六芒星を入れ、六芒星の星の真ん中はこれもサタンの印の十字架が描かれています。六芒星は自然の繁殖や、魔術の悪の星を意味しており、五芒星と同じくらいに悪魔崇拝のシンボルであり、最強のものとして知られています。

1888年、ブラバッキーは2年間に書き留めた原稿が第二の著書「シークレット・ドクトリン」として出版されます。この頃ブラバッキー・ロッジ内に「秘教部」が創設されました。
1889年、後の協会の中心となる社会活動家アニー・べサントが加わります。
1891年、ブラバッキーは死去。後継者にアニーを指名しますが協会は権力闘争となります。

彼女の亡き後、夫のオルコット氏が会長として協会を引き継ぎますが、上記の通りすぐに実権はアニー・べサントという女性に移ります。
しかし、彼女は女性の参加を認めるフリーメイソン系の団体を立ち上げるのです。
 また、協会幹部であったチャールズ・W・レッドビーターが14歳の少年、クリシュナムルティに世界の救世主になるように徹底的な英才教育を施し、彼をキリストの再来とし、崇拝させる教団を設立しました。しかし、のちに成長したクリシュナムルティは教団を離れ独自の啓蒙活動を始めます。彼の著作は全世界で読まれています。
 また、ドイツの支部長であったルドルフ・シュタイナー(1861年クロアチア生まれ)もこうした分裂を期に(チャールズのクリシュナムルティを神智学協会の後継者にする計画に反対し)独立し、1913年に「人智学協会・アントロポゾフィー協会」を創ります。この人智学協会で彼は、過去から未来の宇宙の全ての情報が記憶されたアカシックレコードにアクセス出来る透視能力をもっていたようです。彼は霊界や輪廻転生、神秘思想を肯定し、修行を積めば誰でも超感覚的認識を獲得できるのだとしていたのです。これが人智学協会の目的でした。 
また、彼は教育や芸術・農業・医療など様々な分野で活躍しました。彼はオカルティストでありながら、自然科学や哲学を学ぶ倫理的な人物でもあったようです。

  ⚪参考文書
  ウイキペディア他

 シュタイナーの自伝の言葉から、彼の誠実な性格が伺えます。彼のみを取り上げると、人智学は神智学を更に美化したかのように写り、その世界観に誰もが魅了されてしまうでしょう。しかし、ここに悪魔の騙しテクニックが秘められているのです。これは私が神智学は古代バビロンから変わりないと言っている、宇宙観ともいうべき考え方です。創造主を宇宙にすり替え神と呼び、輪廻転生を繰り返しカルマの解消をし、霊魂を磨けば神のように自分もなれるのだという教えなのです。
私も長年この神智学の世界にのめり込み、信じていたのでよく判るのです。

 これは何度も言っております、聖書の「創世記」の人類の初め、アダムとイブに悪魔サタンが人間に言った嘘と騙しのテクニックです。
 悪魔サタンは蛇に化け、「この禁断の実を食べれば貴方は神のようになれて、死ぬことはない、永遠に生きられる。」と言ったのです。しかし疑うことを知らなかったアダムとイブはまんまと悪魔サタンに騙されました。その結果、神のようになれるどころか、神との約束を破った罪と罰を受け、エデンの園から追放され、永遠の命を与えられていたのにやがて命尽きて死んでしまいました。

 どこまでいっても、この悪魔サタンの同じ欺きの教えが、言葉を変え名前を変え、時代を超えてその姿をコロコロと変幻させて現しているのです。
 ブラバッキーも霊界と交信し、シュタイナーも霊的透視能力がありました。これらは本人の能力などではなく、悪霊達に与えられた能力なのです。人間にはそんな力はありません。
人類の初めから超能力を与えられて人間は造られてはいないのです。神にはその目的も理由もありません。目的や理由を必要としたのは神ではなく、神に反抗した悪魔側であるのです。
嘘をついたなら、その嘘を本物に見せる必要があったのです。
それが古代より今日まで広がる、努力して開発すれば‥信じて修行すれば誰もが神のようになれる、超能力を得られるのだとした教えであり、全部嘘なのです。

 この世で特別な能力を持つのは、堕天使達や悪霊達だけであり、人間のものとは決してなりません。霊媒師や超能力者達の表す不思議な現象も、彼等に取り憑いた堕天使や悪霊達の仕業なのです。心霊写真の類も同じです。精霊や妖精なども同じです。人間はただ操り人形となっているだけなのです。
そして霊媒師や超能力者達は、自分自身が特別な能力を身につけたと信じ込み、次第に自惚れその力を民衆に見せつけ客寄せをし、自分達と同じ悪魔崇拝者にならせようとするわけです。
 
 私達は、この人類の初めから変わらない悪魔の手法に気付かなければいけないのです。 
神智学化されてしまっているこの世の全ての宗教や科学、哲学、その他の分野も。
特に注意すべきは一般化した占い、占術のタロット、ヨガ、瞑想などスピリチュアル系です。
これらに興味を持ち近寄れば、喜んで悪霊が傍にやってきて何らかの指導を始めるでしょう。