(2024.5.29)

 

 

 令和6年(5/1)に令和5年(7/31、8/28)の議事録(医薬品第二部会)が公表されました。

 タイトルについての内容(抜粋要約、時系列)はつぎのとおりです。

 

○(令和4年9月12日)医薬品第二部会 議事録

▽事務局

「オミクロンBA.4-5株ワクチンの審査上の取扱いについて」でございます。

 審査データの取扱いについて、WHOが指定する株のうち、いわゆる亜系統での変異であれば株の抗原性が大きく異ならないことから、亜系統の変異株に対する各ワクチンの免疫原性も大きく異ならないということが想定されます。

 したがいまして、オミクロンBA.1株対応の2価ワクチンにおいて、臨床データも含めた評価がなされていることを前提に、オミクロンBA.4-5株対応の2価ワクチンにおいては、欧米同様臨床データがなくとも評価は可能と考えられます。よって、臨床データの提出を待たずに評価を進めることとし、承認後に追って臨床データの提出を求めることとしたいと考えております。

 また、今後の変異株の取扱いについてでございますが、オミクロン株の亜系統での変更の場合には、BA.4-5系統のときと同様に、製造方法の変更について機構による審査を行うこととして、薬事分科会規定上の区分15(事務局のみで処理)に相当するという扱いにすることを考えております。

 オミクロン株の亜系統以外の変異株の場合には、BA.1のときと同様に、効能・効果、用法・用量の変更を踏まえた部会報告を行うこと、いわゆる薬事分科会規定上の区分11(部会報告)に該当ということを想定しております。

 

○(令和4年10月5日)医薬品第二部会 議事録

▽事務局

「オミクロン株BA.4-5対応コミナティRTU筋注について」という資料を御覧いただければと思います。

 本剤に対する審査の考え方としては、同一系統間の株の変更については、ウイルスの抗原性が大きく異ならないことから、株変更前後のワクチンで得られる免疫原性も大きく異ならないと想定いたしました。BA.1株対応2価ワクチンで臨床を含めた評価がなされていることを踏まえ、BA.4-5対応2価ワクチンを非臨床データにより評価することは可能だと考えております。ただし、臨床データについては承認後追って提出を求めることとしたいと考えております。

(省略)これらのデータ等を踏まえ、本BA.4-5対応2価ワクチンを承認して差し支えないと判断いたしました。

 

○(令和4年10月31日)医薬品第二部会 議事録

▽事務局

 資料のオミクロン株BA.4-5対応スパイクバックス筋注についてを御覧ください。

 本剤に対する審査の考え方としては、先般10月5日に報告しましたファイザー社のオミクロンBA.4-5対応2価ワクチンと同様に、同一系統間の株の変更については、ウイルスの抗原性が大きく異ならないと考えられることから、株変更前後のワクチンで得られる免疫原性も大きく異ならないことが想定されるという考え方に基づき、BA.1対応の2価ワクチンで臨床データを含めた評価がなされているという前提で、BA.4-5対応2価ワクチンについては、非臨床データにより評価することは可能と考えております。ただし、臨床データに関しては、現在、臨床試験実施中であり、承認後に追って提出を求めることとしたいと考えております。

(省略)以上を踏まえて、本BA.4-5対応2価ワクチンを承認しても差し支えないと判断しているところです。

 

⇒ここからはXBB.1系統について。

○(令和5年6月16日)予防接種・ワクチン分科会 議事録

▽事務局

 XBB.1系統についてでございます。

 12ページ目でございますけれども、2価ワクチンにおける各株に対する中和抗体価の上昇というものを見たものでございまして、XBB.1系統は抗原性の差が大きく、BA.4-5を含むオミクロン株2価ワクチンの接種後、XBB.1に対する中和抗体価の上昇率は、BA.4-5や従来株と比較して、相当程度低いということが、こういったデータから示されているというところでございます。

(資料)

 XBB.1系統は、他のオミクロン亜系統と比較して、抗原性の差が大きいことが報告されている。

 BA.4-5とXBB.1系統は抗原性の差が大きく、オミクロン株対応2価ワクチン(BA.4-5を含有)の接種後、XBB.1に対する中和抗体価の上昇率は、BA4-5や従来株と比較して相当程度低いことが示されている。

 

⇒上記のとおり「XBB.1系統は抗原性の差が大きい」とのことですが、つぎの「評価方針」においては「抗原性」について言及されませんでした。

 

○(令和5年7月31日)医薬品第二部会

(資料)

 ファイザー社及びモデルナ社から7月7日にオミクロン株XBB.1.5系統の1価ワクチンについて、それぞれ薬事承認申請がなされている。
(議事録)

▽事務局

 新変異株対応のコロナワクチンの評価方針について御報告をさせていただきます。

 国際的な評価の考え方であったり、これまでの臨床試験成績、使用実績等を踏まえますと、ファイザー及びモデルナの新変異株ワクチン(オミクロン株1価ワクチン)については、品質において問題がないこと非臨床試験でオミクロン株(XBB.1.5系統を含む)に対して中和抗体価が十分に上昇していることが確認できること、また、必要に応じて製造販売後に有効性や安全性の確認を行うことにより、承認して差し支えないかどうかの判断をすることとしたいと考えております。

▽部会長

 報告事項について、委員の先生方から御質問はありますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項については御確認いただいたものといたします

 本日の議題は以上です。

 

⇒委員からの質問もなく「評価方針」は決定され、「抗原性」と明記された考え方は、過去のものとなりました。

 

○(令和5年8月28日)医薬品第二部会 議事録

▽事務局

 事務局より、御報告がございます。1価のオミクロン株対応のコロナウイルスワクチンですが、前回の部会、7月31日の医薬品第二部会において、審査方針について御説明させていただいたところです。その方針に従って、現在、事務局にて確認審査等を進めているところです。本日の議題とはしておりませんが、審査の結果につきましては、後日メール等で先生方に御報告させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。

 

○(令和5年8月31日)医薬品審査管理課

▽1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)のコロナワクチンの審査結果について

 審査方針に従い、ファイザー社の1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)ワクチンについて、提出された品質データ及び非臨床データから、品質データについては特段の問題が認められないこと、非臨床データについては1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)ワクチンの接種によるオミクロン株XBB系統に対する中和抗体が誘導されたことを確認した。

 以上を踏まえ、ファイザー社の1価(オミクロン株 XBB.1.5 系統)ワクチンを承認して差し支えないと判断した

 

○(令和5年9月1日)厚生労働省は「XBB.1.5」に対応した、ファイザーのワクチンの製造販売を承認したと発表。生後6カ月以上が対象。

 

○(令和5年9月8日)予防接種・ワクチン分科会 議事録

▽事務局

 非臨床試験におきまして、XBB対応のワクチンによって中和抗体価の上昇が確認できたということでございます。

 

⇒上記のとおり、「抗原性の差が大きく」とも、「マウス&事務局」のみで薬事承認されました。

 

 

○(令和5年12月8日版)新型コロナワクチン(mRNAワクチン)注意が必要な誤情報(厚労省)

 新型コロナワクチンの情報については、科学的根拠や信頼できる情報源に基づいていない不正確なものがあり、注意が必要です。ワクチン接種のメリットが、副反応などのリスクより大きいため、接種をおすすめしています。

 

○(令和6年1月26日)副反応検討部会(接種後の死亡事例が2168人に増加)

▽審議の概要(厚労省HP)

 これまでの報告によって(省略)現時点でワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられ、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと評価されました。

 

⇒「有効性」について、つぎの質問主意書、答弁書があります。

○(令和6年1月26日)新型コロナワクチン接種に用いられるRNAワクチンの安全性及び有効性に関する質問主意書(衆議院議員)

 厚生労働省ウェブサイトの「新型コロナワクチンQ&A」にも「SNSやメディアでは、新型コロナワクチンに関して様々な情報が溢れています。特に、SNSでは発信者が不明、または科学的根拠や信頼のおける情報源に基づいていない、不正確な情報があり、注意が必要です。」と記載されており、新型コロナワクチン接種について正確な情報を適切に提供することの重要性は、政府にも共有されていると考える。

 従来株対応ワクチンについては、発症予防効果が「16歳以上では約95%」等の数値で表されていたのに対し、オミクロン株対応ワクチンでは「一定の有効性が期待」と数値が示されていないのはなぜか

 オミクロン株対応ワクチンの効果について従来株対応ワクチンのように数値で示すことはできないのか

 もし、先行する研究が見当たらないために数値を示すことができないのであれば、政府において調査して、公表すべきではないか。

▽(令和6年2月6日)上記質問に対する答弁書

 内閣総理大臣 岸田文雄

「従来株対応ワクチン」に係る記載については、令和3年2月15日等に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、臨床試験についての御指摘のような「数値」等の結果について確認されたことを踏まえ記載したものである一方、「オミクロン株対応ワクチン」に係る記載については、令和5年9月8日の同分科会において、「非臨床データ」により「中和抗体の誘導が認められた」と確認されたことを踏まえ記載したものであり、「数値」の記載はないところであるが、引き続き、「オミクロン株対応ワクチン」を含めた新型コロナワクチンに係る有効性等について、「数値」も含め、科学的知見を収集し、必要に応じて国民の皆様に情報提供してまいりたい。

 

 

 最後に。

 これまでの「接種のメリット>リスク」との情報提供は、科学的知見が十分と言えるものなのでしょうか。

 

 

 以上です。